三人のうち、二人だけ書いた
同じ時期に昇進したのは三人。そのうち二人の名前は、迷わず書くことができました。「これからの活躍を期待しています」と、当たり障りのない、けれど心からの言葉を添えて。
問題は、もう一人でした。彼女の名前を打ち込もうとしては、何度も書いて消しました。同期と同じ一行で済ませてしまっていいのか。みんなへのお祝いに紛れ込ませる形で、彼女への言葉を流してしまいたくない。そんな思いが、僕を妙に慎重にさせていました。
あの一行で終わらせたくなかった
正直に言えば、僕は彼女のことが気になっていました。仕事ぶりを近くで見てきて、誰よりもこの昇進を喜びたいと思っていたのです。だからこそ、全員宛のメールに名前を並べて「おめでとう」と書くのが、どうしても嫌でした。
それでは、ただの事務連絡になってしまう。彼女にだけは、ちゃんと向き合って伝えたい。そう考えた末に、僕は彼女の名前を書かないまま、メールを送ってしまったのです。あとで個人的に伝えればいい。そのときは、それが一番いい方法だと信じていました。
