そして...
当日、俺は家を出る前から落ち着きませんでした。忘れ物はないか何度も確認して、必要のないタイミングでスマホを見て、彼女に「大丈夫?」と聞かれるくらいそわそわしていました。実家に着いて両親の前に立つと、彼女はきちんと背筋を伸ばして挨拶をしてくれました。
俺があれだけ勝手に心配していた空気は、思っていたよりもずっと穏やかでした。母は彼女に何度もお茶をすすめ、父は俺が小さいころの話をしながら少し照れていました。彼女は笑いながら、丁寧に相づちを打ってくれていました。その姿を見ながら、俺は思いました。こんなにちゃんと向き合ってくれる人に、俺は何を隠していたんだろう。
帰り道、俺はようやく笑えました。「緊張しすぎてたかも」。彼女は少し呆れたように笑いました。次に何かに身構えることがあっても、もう予定の名前だけを変えてごまかすのはやめようと思います。隠す前に、ちゃんと口に出す。それが彼女を不安にさせないために、俺が最初にやるべきことだったのだと思います。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
