・だまされないために
最後に、詐欺師・由美についても軽く解説しておきたい。
彼女は、いわゆる投資ロマンス詐欺師である。私がやり取りした相手の中でも、特に時間をかけて信頼関係を築くタイプだった。
序盤は投資の話をほとんどせず、「おはよう」「お疲れさま」「今日は何を食べましたか?」といった日常会話を毎日のように繰り返す。
さらに、自撮り写真やスーパーでの買い物、手料理、ジム通いなど生活感あふれる写真を大量に送り、「普通の女性」という印象を作り上げていく。
印象的だったのは料理へのこだわり。チャーハン、パエリア、餃子など数多くの料理写真を送り、レシピまで丁寧に教えてくれる。
実際に料理を作って見せ合うなど、共通の趣味を通じて距離を縮めようとしていた。
恋愛感情をあからさまに匂わせるというより、「気の合う友人」「何でも相談できる相手」という関係を築き、その先で少しずつ投資の話題を増やしていく。
ゴールドや暗号資産(USDTなど)の話を自然に織り交ぜ、「先生に教わっている」「自分も利益を出している」と資産画面や運用実績らしき画像を見せながら説明。
そして「一緒に勉強しましょう」という形で、押し売りすることなく興味を持たせようとするのが特徴だった。
こうした手口は、恋愛感情だけでなく信頼関係そのものを利用して投資へ誘導する「投資ロマンス詐欺」の典型例に近い。
いまだに被害者は続出しているので、この手口は、必ず頭に入れておいて欲しい。
なお、本人は中国出身だと話していたが、その真偽は確認できない。プロフィールや国籍も含め、相手が語る情報はすべて演出の可能性がある。
ちなみに海外では、この手口は「Pig Butchering(豚の屠殺)」と呼ばれている。豚を太らせてから食べるように、何カ月もかけて信頼関係を育て、最後に大金を投資させる──そんな意味が込められた名前である。
そういえば、今回使ったスパム(SPAM)は豚の缶詰。詐欺世界におけるスパムとは、迷惑メールや迷惑メッセージの無差別送信。そして由美が行っているのは、通称「豚の肥育詐欺」。
スパム、スパム、そして豚の肥育詐欺。偶然とは思えないほど「豚」に縁のある一皿。
詐欺師に教わったチャーハンなのに、うまさだけは本物だった。今回ばかりは、まんまと「うまさの逆詐欺」に引っかかった私なのであった。
執筆:迷惑メール評論家&チャーハン探求家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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