●1000を超える厳しい品質試験
パナソニック HVAC&CCは家庭用エアコン「エオリア」のほか、空気質関連製品、エコキュートなど水関連製品、空調デバイス、冷凍機などの開発から製造、販売、施工、サービスを一気通貫で手掛ける。
常務執行役員でエアコン事業部の西暢彦事業部長は、提供する価値として「品質への取り組み」と「独自技術」「IoTテクノロジー」の三つを掲げる。特に品質では「10年使うものだから、徹底してこだわっている」と強調する。
防水や耐久試験、無響音質試験、コンプレッサー試験による快適性、猛暑や強い日射、極寒環境での運転試験、砂塵耐久やホコリ耐久、豪雨や防風、落雷、長時間運転など、1000を超える品質試験を実施している。今回、その一部を公開した。
独自技術では、空間の清潔を実現するナノイーXを紹介。IoTテクノロジーでは、国内外のアプリとエアコンをクラウドサービスで連携し、エアコン本体からさまざまなログデータを収集し、エアコンのライフサイクルコストの削減を実現しているという。
●省エネのコア技術「エコロータリー コンプレッサー」
エアコン事業部 事業企画センター 商品企画部の山本弘志部長は、エアコンを取り巻くトレンドに触れた。
「エオリアのログデータから得た運転状況をみると、夏場のリビングで24時間エアコンを運転している方は25年に22.7%まで増えており、ルームエアコンが生活必需品になっている」と、24時間つけっぱなしで使っているユーザーが増えている点に着目する。
冷房の長時間運転で課題になるのが、いかに負荷が低い運転時の省エネ性能を上げるかになる。
「運転開始時はしっかりと出力を上げて温度を下げるが、室温が安定した後は、室温を維持する運転に移行する。このとき、出力をしっかりと落とさないと、オン・オフを繰り返す、電力ロスの多い運転になる」と説明する。
ユーザーのログデータからとった冷房運転分布イメージでは、必要なパワーが30%以下の中・低負荷運転時が、全体の65%の構成比を占めていることがわかる。つまり、室温をキープするための中・低負荷運転時の省エネ性能を高めることが、重要なポイントになるのだ。
パナソニックの独自技術「エコロータリー コンプレッサー」は、まさに低速回転時の省エネ性能を高めるデバイスである。
室外機に内蔵するロータリー コンプレッサーで冷媒を圧縮する際、一般的なコンプレッサーはベーンと呼ばれる仕切り板をバネで押している。そのため、低速回転時にベーンとピストンのすき間から圧縮冷媒がわずかに漏れる。
エコロータリー コンプレッサーはベーンとピストンをはめ合う構造(アセンブルベーン方式)にしたことで、低速でゆっくり回転しているときも圧縮した冷媒が漏れにくい。冷房運転時の最小出力を、約40%低減することに成功した。
「安定運転時に最小の出力でしっかりと抑えることができるので、オン・オフによる電力ロスが発生せず、トロトロと運転することができる」と山本部長は表現する。
エコロータリー コンプレッサーを搭載する機種は、LX/X/XS/HXシリーズである。今後、2027年に省エネトップランナー基準が変更され、基準達成モデルを増やすときも、このエコロータリー コンプレッサーがキーデバイスになるだろう。どこまで下位モデルに搭載していけるかがカギを握る。

