冷たい返信
送信してから、後悔しました。手紙のことを一言添えればよかった。でも、その一言をどう書けばいいか、指が止まってしまったのです。
「会うのはちょっと……何か用事があるなら、メッセージで聞くよ?」
やっぱり警戒された、と分かりました。7年も連絡を放っておいて、いきなり会いたいと言われたら、そう思うのが当然です。自分が逆の立場でも、きっと同じ返信をしたと思います。
「ごめん、やっぱり何でもない」と打っては消しました。3回、4回と繰り返していたと思います。
そして...
覚悟を決めて、本当の理由をそのまま打ちました。
「ごめんね、急に変だよね。実は引っ越しの片付けをしてたら、高校の時にもらった手紙が出てきて。あの時本当に救われたんだ。ちゃんとお礼が言いたくて……」
送信してから、返事を見るのが怖くて、しばらく画面を伏せていました。
「全然覚えてなかった……ありがとう。会おうよ」
画面に浮かんだ「会おうよ」という短い言葉を、私は何度も読み返しました。忘れられていたことは、少し寂しくもあったけれど、それ以上に嬉しかったのです。あの日の一言は、書いた側にとっては忘れる程度のものだったからこそ、きっと本心だったのだと思えたから。
段ボールに囲まれた部屋で、私は数年遅れの「ありがとう」を、ようやく届けに行く準備を始めました。
(20代女性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
