最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
〈夏休みの学校開放に現場困惑〉「現場を知らない人が机上で作った方針」「無料労働力として使われるのは理不尽」…文科省は「教職員が対応するものではない」とするが

〈夏休みの学校開放に現場困惑〉「現場を知らない人が机上で作った方針」「無料労働力として使われるのは理不尽」…文科省は「教職員が対応するものではない」とするが

文部科学省は7月3日、「長期休業期間中等の学び・体験の充実について(要請)」と題する事務連絡を発出した。夏季休業期間などに、子どもが学びや体験活動に参加できる機会の充実を図ることを目的に、学校施設や社会教育施設の積極的な活用を各教育委員会等に求める内容だ。

 

今回の要請は学校だけを対象にしたものではないが、学校施設の開放も含まれるため、現場では夏休み中の“学校開放”要請と受け止める声もある。文科省側は「基本的に教職員が対応するものではない」としているが、トラブル時の対応などをめぐり、不安の声も上がっている。

「現場を知らない人が机上で作った方針にしか見えません」

「またきこえの良い理想論を言っているな、と感じました」

こう話すのは、公立小学校に勤める教員のF氏だ。

夏休みまでわずか2週間というタイミングで出された今回の“学校開放”要請について、「学校や自治体から具体的な説明はまだ何もありません」と話す。

F氏が何よりも懸念するのは「トラブル対応」だ。

「学校開放にともなうリスクを考え始めると、『これは絶対にトラブルになる』という事例が山ほど思い浮かびます。現場を知らない人が机上で作った方針にしか見えません。

児童同士の喧嘩・いざこざ、ものが壊れた・壊された、受け入れ時の本人確認ミスによる不審者侵入リスク、教室内で何をしているかわからない状況、GIGAスクール端末を使った不適切閲覧や端末の破損など……。これらを教員が見ていない状況で起こったらどうなるかは、想像に難くないと思います。事故・責任問題・衛生面の悪化なども加われば、現場がさらに混乱することは目に見えています」(F氏、以下同)

こうした懸念の背景には、教員が夏休み中も決して「休み」ではない現状がある。

「夏休み中は『休み』と呼べるような期間はほとんどありません。不祥事防止をはじめとする各種研修が複数入ったり、子どもたちの提出物やノート、テストをすべてまとめ、最終成績を確定させる成績処理もあります」

F氏によれば、教員の多くは7月下旬からお盆すぎまで、夏季休暇5日と有給を組み合わせて取得するが、担任を持つ教員には「クラスを長期間空ける罪悪感」もあるため、実際には年休を十分に消化できないケースも少なくない。

「趣旨としては悪くはないと思います。ただ、あまりにも急ではないでしょうか」

「子どもの居場所確保」という目的に関しては、「わからないでもありません」と理解を示しつつ、根本的な課題である教員の「働き方改革」が進まない現状をF氏はこう訴える。

「結局のところ『給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)のおかげで教員は残業代なしで働かせ放題だから、学校を開放して無料で対応させればいい』という思惑が透けて見えます。夏休みは教員にとっても数少ない自分の時間を取り戻せる期間なのに、それを削ってまで“無料労働力”として使われるのは理不尽です。

学校を開放するのであれば、しっかり対価を払ってほしいと思います。普段の働き方もそうですが、残業代がつかないからこそ際限なく働かされてしまいます。

管理職が『これは残業だ』と認め、きちんと残業代をつけるようになれば、業務の実態が可視化され、『何にそんなに時間が取られているのか』『管理職はちゃんと管理できているのか』という点も見えてきます。給特法を改正して残業代をちゃんと支払う仕組みに変えれば、教員の働き方はかなり改善すると考えています」

では、管理職経験者は今回の要請をどう受け止めているのか。

関東地方の小学校で校長を務めた経験のあるT氏は、「発表するタイミングが悪すぎる」と指摘する。

「いろいろなお子さんがいて、暑い中で家に一人でいなければいけない子もなかにはいます。今回の要請は、そういう状況をなんとかしたいという話なのかなと受け止めており、趣旨としては悪くはないと思います。ただ、あまりにも急ではないでしょうか」(T氏、以下同)

続けて、現場で広がる不安については次のように見る。

「学校を使うとなると、やっぱりみんな『教職員が関わることになるのではないか』と心配すると思います。 ただ、これだけ働き方改革を推進して、教職員に対して勤務時間を減らすように促している以上、取り組みが始まったとしても教職員が関わることはないと思います。

急な通知ですから、これまですでに学校で活動していた団体が夏休みにイベントを実施するとか、その程度にとどまるのではないかと思います。あとは、要請を受けた自治体が学校にどういう指示を出すか次第ではないでしょうか」

提供元

プロフィール画像

集英社オンライン

雑誌、漫画、書籍など数多くのエンタテインメントを生み出してきた集英社が、これまでに培った知的・人的アセットをフル活用して送るウェブニュースメディア。暮らしや心を豊かにする読みものや知的探求心に応えるアカデミックなコラムから、集英社の大ヒット作の舞台裏や最新ニュースなど、バラエティ豊かな記事を配信。

あなたにおすすめ