「若手の挑戦を歓迎する」と掲げる企業は多いものの、それを実際の現場で体現するのは容易ではありません。本配属の初日に「自らやりたい施策」を提案し、そのまま主担当としてプロジェクトを牽引した新卒社員の挑戦を、周囲はどのように支え、形にしていったのでしょうか。
私たちデジタルバンク「みんなの銀行」では、年次に関わらず若手社員を信じて任せるカルチャーを大切にしています。今回は、当行のサービス企画を担当する新卒2年目の犬丸佳祐と、その上司であるグループ長の宗広隆志の対談を通じ、若手の主体性を引き出し、挑戦を形にするためのリアルな組織風土とマネジメントのあり方について、当事者の生の声をお届けします。
本配属初日、すべては「やりたいです」の一言から始まった
――本配属から約1年が経ちましたが、率直にいかがでしたか?
犬丸:多くの方に支えていただき、あっという間でしたが、とても充実した1年でした。
――その原点が、配属初日にご自身からアクションを起こしたことにあると伺いました。
犬丸:はい。配属初日に行われた、グループ長の宗広さんとの1on1がすべての始まりでした。そこで「これから何がしたい?」と問われた際、研修中から温めていた「ボックス(※)を活用した施策に挑戦したいです」と、自分の言葉で直接伝えました。内心はとても緊張しましたが、熱意をストレートにぶつけたんです。
※ボックス:みんなの銀行の貯蓄預金。預金の目的に応じてボックス名や目標金額、目標日を設定し、最大20個のボックスを作成できる機能。
――配属初日に、いきなり自ら企画を提案したのですね!
犬丸:はい(笑)。まさか本当に任せてもらえるとは思っていませんでしたが、「絶対にカタチにしたい」という強い想いがありました。
すると、宗広さんから「ボックス施策の主担当として進めていい」と言われ、驚きと同時に身が引き締まる思いでした。「必要なことは、実践しながら覚えていく」という方針のおかげで、すぐに企画の具体化に着手することができました。
同期が様々な業務を習得していく中で、自分は一つの企画に集中させてもらっているのに、なかなかカタチにできていないという焦りを感じたときもありました。しかし、施策を一から考えるという貴重な経験をさせてもらっていたため、何度もアイデアを出し、宗広さんに相談を重ねていました。
――企画の具体化は順調に進みましたか?
犬丸:いえ、何度も壁にぶつかりました。当初は、旅行や推し活といったテーマで企業と連携したボックス施策ができないかと考え、提案をしていました。
しかし、「どうすれば企業にメリットを感じてもらえるか」、「この施策が自社にどのような効果をもたらすのか」というビジネスの視点が足りず、思いだけでは企画を前に進められないことを痛感しました。提案の場で自社サービスについて的確に説明しきれず、自分自身の知識不足を思い知らされる場面もありましたね。
――心が折れそうになりますね。
犬丸:何度かなりました(笑)。でも、そのような時はいつも上司の宗広さんに何度も相談し、「そもそもこの案件を通して何を目指すのか」という原点に立ち返っていました。
議論を重ねる中で、「旅行」のようなイベントだけでなく、「結婚」という大きなライフイベントに寄り添う金融サービスとしてボックスを活用できるのではないか、という新しいアイデアにたどり着いたんです。
行き詰まった時も、各部署の先輩方に相談すると、それぞれの専門分野から自分にはない視点でのアドバイスをいただけて、それが大きな力になりました。
――企画の方向性が固まってから、具体的にどのように形にしていったのですか?
犬丸:企画が決まってからも、大変なことは多かったです。キャンペーンの事務手続きや契約関連のことは何も知らなかったので、まさに実践の中で一つひとつ覚えていくという感じで……。
特に、デザイン部やマーケティング部など、他部署の先輩方にもたくさん相談し、キャンペーンの特設ページで自社の強みをどう打ち出すか、どのような表現をすればお客さまに響くのか、施策をさらに盛り上げるにはどうすればいいか、といった点に知恵を絞りました。
本件をきっかけに初めてお話しする先輩も多かったのですが、皆さんから親身なアドバイスをいただき、打ち合わせにも同席してくださったおかげで、形にすることができました。
――まさに、部署を巻き込んだプロジェクトだったのですね。その中で、一番の達成感を感じたのはどのような時でしたか?
犬丸:施策がリリースされ、口座開設数やボックス作成数が増加した時はもちろん嬉しかったですが、それ以上に、多くの部署の方々にサポートしていただき、一つのものを創り上げられたことに達成感を感じました。
ただ、施策はリリースして終わりではありません。思うような成果が出ずに悩むこともありますが、そのような時も、決して一人で抱え込ませず、課題解決まで一緒に伴走してくれます。
「まず自分でやってみる」という挑戦を尊重しつつ、少し離れた場所から見守り、必要な時には的確なサポートをくれる。この距離感が、若手でも挑戦できる環境を作ってくれているのだと感謝しています。
「心配はなかった」上司が語る、新卒に企画を“あえて”任せた理由
若手の挑戦を、なぜ受け入れるのか。その裏側にあるマネジメントの想いを知るため、犬丸さんの上司である宗広さんにも話を聞きました。
――配属初日の犬丸さんから「ボックスをやりたい」と聞いた時、どう思われましたか?
宗広:彼の第一印象は、物腰が柔らかく、丁寧なコミュニケーションが取れる人物というものでした。だからこそ、配属初日に「ボックスをやりたいです」と、内に秘めた熱意をはっきりと伝えてくれた時は、良い意味で驚きましたし、とても頼もしく感じましたね。
もちろん、まだ本配属前の段階でしたから、彼の得意なことや苦手なことを正確に把握していたわけではありません。研修のように丁寧に教えるべきか、それとも伴走しながら実践で学んでもらうのが良いのか、指導の方針もまだ手探りでした。ですが、まずは「やりたい」という彼の熱意を信じて、走りながら一緒に進めていこうと決めました。
――とは言え、新卒1年目の社員に任せることに、心配はありませんでしたか?
宗広:心配は、ありませんでした。最初から企画が完璧にうまくいくとは思いません。それよりも、一から任せることですべてを「自分ごと」として捉え、たくさんの経験と、そして失敗をしてもらいたかったんです。
なぜなら私たちの部署は、アイデアを出すだけでなく、サービスを成長させてビジネスとして結果を出すところまで責任を持つからです。だからこそ、新卒や中途といった経験に関わらず、自分でゴールを見つけて突き進める「自走できる人財」を求めています。
――「任せる」とは言っても、完全に放置するのとは違いますよね。具体的には、どのようにサポートされていたのでしょうか?
宗広:もちろん、大前提として、取り返しのつかない失敗はさせません。企画の最終的な責任は会社や上司が負いますし、危ない道に進みそうなら全力でブレーキをかけます。
その上で意識したのは、「相談のしやすさ」です。例えば、週に一度1時間どっしり話すより、朝・昼・夕方に15分ずつ話す方が、彼も気軽に相談できるし、我々も細かく軌道修正できる。間違った方向に進んでからの手戻りを防ぐ意味でも、短いコミュニケーションを頻繁に持つようにしていました。
――まさに伴走、という感じですね。
宗広:そうですね。それと、彼は吸収力が高いからこそ、僕一人のやり方だけを真似るのではなく、より多様な視点を身につけてほしかったんです。だから、意識的に他のチームの先輩など、異なるバックグラウンドを持つ人と関わる機会を作りました。僕だけでなく、たくさんの人から良いところを吸収してほしかった。
彼は、その期待に応えるように、粘り強く企業へアプローチし、他部署にも自ら協力を仰ぎ、前に進んでくれました。その姿を見て、彼ならやりきれると確信していました。
――この1年で犬丸さんはどのように成長しましたか?
宗広:本当に頼もしくなりました。今では、私が何も言わなくても自発的に課題を見つけ、次のアクションを起こしてくれます。他部署のメンバーから、彼を頼って直接相談が来ることも増えました。私が関与しなくても安心して任せられる領域が、この1年で格段に広がったと感じています。彼の今後のさらなる活躍が、今からとても楽しみですね。
