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岡山の自社工場で最高峰のマシンメイドシャツを追求する男【アメトラをつくった巨人たち。】

伝統を翻訳し時代に寄り添う一着

還暦を過ぎても藤井さんの好奇心は尽きない。目下、心血を注いでいるのは、独自の既製品ラインである“ドレス仕立てのカジュアルシャツ”だ。取材中も「今の子どもたちは、サイズが合わない服を着て首が凝るのを服のせいにしている」と、正しい着こなしを伝えることの大切さを熱っぽく語っていた。

「ファッションは変わり続けるものですが、ぼくらが作るのはあくまで日々に寄り添う道具です。袖を通した際の心地よさ、つくり手の誠実さを感じてもらえるシャツを、今の時代に合ったやり方で次世代へと残していきたい。それがぼくの、最後にして最大の使命だと思っています。1枚のシャツが、誰かの人生を少しだけ豊かにする。その瞬間を信じて、今日も岡山でミシンが回っているのです」。

知る人ぞ知るトラッドブランド「モーリス&クラフト」に携わる

「コスマース」在籍時に担当していた〈モーリス&クラフト〉のアーカイブ。まさに藤井さんが企画に携わっており、いまだに記憶も残っているという。「ブレザーは気に入って、よく着ていました」。

何着ものシャツを見てきた藤井さんのお気に入り

「アイ ジュンヤワタナベ マン」のBDシャツ。「随所の大胆な切り替えはこのブランドならでは。『ブルックス ブラザーズ』とのコラボモデルも持っていて、そちらもお気に入りです」

「『ブルックス ブラザーズ』のインラインではブラックフリースが好き。トム・ブラウンらしい遊び心が袖のあしらいに見て取れます」

「『サンリミット』のシャツも気に入ってますね。シャツなのにラグランだったり随所にパッカリングが入っていたり。どのシャツもそうですが、“再解釈されたトラッド”に惹かれるんです」

岡山に自社工場を構えるオーダーシャツブランド「DOIHOKOSHO」

「Pt.アルフレッド」から製作を任されたり、少誌でも幾度にわたって別注品製作を依頼したりと、トラッド業界からの厚い信頼を得ており実力は折り紙付き。東京では新橋に構える本店にて「DOIHOKOSHO」としてカスタムシャツのオーダーを受けている。襟型は約10型、生地は「トーマスメイソン」や「カンクリーニ」などの名門から、「カリビアン」というオリジナルファブリックまで、1000種以上の生地から選ぶことができる。最低価格1万4300円からオーダー可。(DOIHOKOSHO 東京都港区新橋1-15-1 IMAS新橋ビル3F TEL03-6273-3260 11:00〜20:00(土曜のみ〜18:00) 水曜日曜定休)

藤井さんが企画する目下進行中の新ラインに注目!

新たに企画しているのはオーダーではなく既製のシャツ。「トーマスメイソン」の生地を使った[イージーシャツジャケット]や、襟と袖のステッチを抜いたブロードシャツなど、いずれもユニーク。

[イージーシャツジャケット]のコーデュロイ版。アメリカ産オックスフォードを使用したBDシャツは、第3ボタンから比翼の“ハーフ比翼”仕様。いずれも天邪鬼な藤井さんらしいアプローチだ。

本江MEMO

25年ほど前、某誌の企画でシャツのセミオーダーを試みた際、百人百様の体型に寄り添う服の必要性を痛感しました。以来、自店でもサイズが合わないお客様への対応として信頼できるパートナーを探し続けてきました。藤井くんが在籍する「ドゥ・ワン・ソーイング」は、長年評判を耳にしていた工場。古い友人の紹介で出会い、原宿での打ち合わせを重ねてオーダーを開始しました。最近の酷暑に対応すべく、写真のスタンドカラーシャツも綿と麻の素材限定で彼のもとで生産しています。まさにスタンドカラーのような、イレギュラーなディテールへの対応力は、藤井くんの知見とノウハウあってこそ。西武渋谷店閉店の報が届く今、還暦の彼ですら業界では貴重。未来の服飾界のために、段ボールに眠る名刺を整理しながらこの記録を続けます。

(出典/「2nd 2026年6月号 Vol.218」)

配信元: Dig-it

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