
【TVer裏話】「権利の都合上お見せすることができません」はなぜ?地上波では見られたのに…現役テレビマンが明かす“1秒2,500円”のえげつない現実の画像一覧
TVerでバラエティ番組を楽しんでいるとき、過去の映像やアーティストのPVが流れるはずの場面で突如現れる「権利の都合上お見せすることができません」の文字。「いいところだったのに!」とがっかりした経験、誰にでもありますよね。テレビでは普通に流れているのに、なぜTVerだと見られないのでしょうか? 今回は、長年テレビ業界で活躍する現役テレビマンに直撃取材。そこには、私たち視聴者の想像を超えるリアルなお金事情と、裏方スタッフの涙ぐましい努力がありました。
TVerの「権利の都合上お見せできません」はなぜ? 現役テレビマンが明かす“フタ”の裏側
TVerで配信されるバラエティ番組では、テレビの放送では過去の映像やPVなどが流れているはずの場面で「権利の都合上お見せすることができません」と表示され、その映像を見ることができないことが多くあります。貴重な映像の場合がっかりしてしまうこともありますが……これはなぜなのでしょうか?長年テレビ業界で活躍する現役テレビマンA氏が教えてくれました。
「テレビで使用する素材の中には、自局以外が権利を持っている素材がたくさんあり、お金を払って使用させてもらっています。例えばスポーツ素材であれば、高いものだと『基本使用料●万円+1秒あたり2,500円/15秒以上使用した場合、基本使用料+●万円』などの契約があったりします。契約によってはテレビ放送のみで使用する場合とテレビ放送+TVerなどの配信で使用する場合には使用料が倍になったりもしますし、そもそも配信で使用する自体を外部に許可していないという素材もありますね」(A氏)
近年では、テレビのリアルタイム放送よりもTVerなどの配信で見る人のほうが多いことは重々承知しているものの、現在の民放はかなり限られた予算内で番組作りをしていることもあり、配信では泣く泣く借りている素材は流せない、のが実情なのだそう。
この「地上波ではオンエアされたのに、TVerでは“権利の都合上お見せできません”と表示することをテレビ業界では“フタがされている”と呼ぶといいます。
「配信で“フタがされている”のは権利処理の問題がほとんどだと思います。特に局ではなく、別の会社が権利を持っていることが多いスポーツの大会の素材、オリンピックの素材、または他局からお借りした番組の素材もフタをする場合が多いですね」(A氏)
予算の都合以外の場合では、配信が登場する前の時代の番組だった場合もあるといいます。
「放送時の契約では再放送OKの許諾は取っていたけれど、その後“ネット上の配信”というものが生まれ、特にサブスクはその素材でお金を稼ぐこともある手前、『改めて配信がOKかどうか裏方や出演者に許可を取る』作業が必要になります。しかし、権利先が複雑だったり連絡先が不明になっていたりと事実上許諾の取得が困難なため配信NGになったりすることもありますね」(A氏)
配信NGはいつ決まる? 番組制作の裏で行われている“驚きの作業”とは
この、配信で“フタがされる”ことは、番組制作をしている方はいつ確認するものなのでしょうか?あまりにも“権利の都合上お見せできません”が多すぎると配信では放映しないなど影響もありそうですが……。
「全ての素材は借用する際に使用する条件を伝えられます。使用する条件とは、『配信での使用不可』『使用料は●秒●●円』『使用は15秒以内』『VTR中の●●にはモザイク処理をする』『映像の上にテロップは載せない』『一切の加工不可』など多岐に渡ります。なので、素材を集めて編集を始める段階で、その条件がわかっています。仮に局内のライブラリに保管されている自局の素材であっても、このような使用上の注意が併せて細かくデータ化されています」(A氏)
かなり初期段階で把握しているのですね。特にオンエアに向けて編集作業をするのは、毎週放送のレギュラー番組であれば2~3週間前が多いそうで、その段階では配信するか否かは分かっているのだそう。
「『大スターの懐かし映像』『スポーツ名場面』といった番組では、配信がフタばかりになってしまって成立しなくなってしまうため配信自体を諦めたり、その回は使用できない過去素材が多いというバラエティ番組が、公式SNSで『今回は配信できない素材が多いので、ぜひリアルタイムでご覧ください』と発信しているのも見たことがあります!」(A氏)
