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医師はいるのに「受診できない」――医療アクセスの盲点とは

医師はいるのに「受診できない」――医療アクセスの盲点とは

医師不足が社会課題として語られる一方、患者が直面する課題の一つが、医師の総数だけでは捉えられない「受診できる時間と場所」の不足である。平日日中に通院できない働き世代や、専門科が近くにない地域の住民にとって、医師が存在していても必要なときに医療へつながれるとは限らない。こうしたなか、クラウドドクターは夜間・休日を含むオンライン診療網を構築している。オンライン診療は医療の空白をどこまで補完できるのか。その可能性と限界を探る。

医師不足より深刻な「時間と場所の偏在」

地域医療の供給力を測る際、人口当たりの医師数は重要な指標である。しかし、医師の人数が一定水準に達していても、患者が必要とする診療科や時間帯に医療が提供されているとは限らない。

厚生労働省は、都道府県や二次医療圏ごとの医師の多寡を比較する「医師偏在指標」を公表している。医師の年齢や性別、地域人口の構成、患者の流出入などを踏まえて算出し、都道府県の医師確保計画に活用する仕組みである。小児科や産科など、診療科ごとの偏在も政策上の論点となっている。

株式会社クラウドドクター代表取締役で医師の赤松敬之氏は、クリニック運営や生活習慣病診療の経験を通じ、「医師が全くいないというより、必要な時間と場所に医療が届いていない場面がある」と話す。都市部でも平日日中に受診しにくい働き世代がいるほか、地方では通院手段や専門科へのアクセスが制約となり得るという。

ただし、医師偏在指標は地域全体の傾向を把握するものであり、患者が夜間や休日に受診できるかまで直接示すものではない。医師数と実際のアクセス可能性の間には、なお隔たりがある。

夜間・休日の「医療空白」はなぜ生まれるのか

夜間や休日の医療提供体制は、病院の当直医、地域の休日診療所、救急医療機関などによって支えられてきた。しかし、医師の働き方改革や人材確保の難しさを背景に、従来と同じ体制を維持することが難しい地域もある。

赤松氏によると、病院側が当直体制や医師派遣を確保できない一方、患者側も仕事や交通手段などの事情から診療時間内に受診できず、症状を我慢するケースがあるという。受診が遅れれば、早い段階で相談できた症状が悪化し、結果として救急医療への負担が増す可能性もある。

こうした問題は、医療者が不足しているか否かだけでは説明しにくい。医師が勤務している時間、対応できる診療科、患者が移動できる距離を組み合わせて考える必要がある。医療アクセスとは、医師の配置だけでなく、診療時間や交通、患者の就労環境まで含む問題なのである。

もっとも、夜間・休日の受診先を増やせばよいという単純な話でもない。限られた医療人材を長時間稼働させれば、医師や看護師の負担が増える。患者の利便性と医療従事者の持続可能な働き方をどう両立するかが構造的な課題となる。

配信元: TREND NEWS CASTER

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