オンライン診療は「代替」ではなく導線になれるか
オンライン診療は、医療機関へ移動せずに医師へ相談できる手段として利用が広がっている。ただし、対面診療を全面的に置き換えるものではない。厚生労働省の指針でも、オンライン診療には得られる情報の限界があり、患者の状態に応じて対面診療へ切り替えることが求められている。
クラウドドクターの説明によれば、同社は複数の医療機関に所属する医師のネットワークを活用し、夜間・休日を含むオンライン診療体制を運営している。赤松氏によると、登録医師は1000人を超え、診療後の処方箋送付、薬局との連携、医薬品の配送までをつなぐ仕組みを整えているという。
診察だけをオンライン化しても、薬を受け取れなければ患者の課題は解消しない。診療、服薬指導、薬の受け取りまでの導線を設計することは、オンライン医療の実効性を左右する要素となる。多言語対応も、外国人居住者や訪日客にとっての選択肢を広げる可能性がある。
もっとも、オンライン診療では触診や詳細な身体診察ができない。胸痛や呼吸困難、意識障害など緊急性が疑われる症状には適さず、年齢、既往歴、症状の程度を踏まえた適応の選別が前提となる。利便性が高まるほど、安全管理と対面診療への切り替え基準が問われる。
「受診施設」の制度化で離島医療は変わるか
オンライン診療の普及を左右するのは、自宅から接続できる人だけではない。通信機器の操作に不慣れな高齢者や、自宅でプライバシーを確保しにくい人への支援も必要である。
2026年4月施行の改正医療法では、患者がオンライン診療を受ける専用の場所として「オンライン診療受診施設」が位置づけられた。制度上は、医療機関以外の施設でも一定の要件を満たせばオンライン診療の受診場所となり得る。施設には安全性やプライバシー、情報セキュリティへの対応が求められる。
赤松氏は活用場面として、離島や中山間地域、医療機関の休診が重なる時期を挙げる。同氏によると、新潟県佐渡島では、看護師が患者に付き添い、島外の専門医による診療へつなぐ来院型オンライン診療の取り組みを進めているという。移動負担を抑えながら専門医療へつなぐ導線の一つと位置づけられる。
一方で、施設を設置するだけでは医療提供体制は成立しない。看護師などの人材確保、対面診療を担う地域医療機関との連携、緊急時の搬送先、費用負担や責任分担を決める必要がある。制度の実効性は、地域ごとの運用体制を構築できるかに左右される。

