【開発者インタビュー】18年ぶりの刷新で追求した“突き詰めた絶対精度”とは
「グラビティマスター GWR-B3000」の大きな特徴を理解したうえで、より細かな部分について開発者のお二人に聞いてみました。
──たくさんの「G-SHOCK初」が盛り込まれていて、開発にはかなり力を入れたのでは?
小島「そうですね。今回は中身から刷新し、外装の耐衝撃構造や薄型化、質感の向上まで含めて、現在の技術を幅広く盛り込みました。特に『タフムーブメント2』は大きな進化だと思います」
黒羽「『タフムーブメント』誕生は2008年です。当時の時点で、電波受信やタフソーラー、針位置自動補正といった機能を備え、かなり完成度の高いムーブメントでした。そのため、次に何を進化させるべきかを長く考えてきたんです。一貫して目指してきたのは、アナログ時計の時刻精度。今回は衝撃や磁場といった“外乱”からも時刻表示を守るため、時計自身が異常の要因を検知し、針ずれを直したり予防したりできるようにしました」
──従来の「タフムーブメント」にも針位置自動補正機能はあるんですよね。
黒羽「はい。光を使って歯車や針の位置を定期的に確認し、ずれていれば正しい位置に戻るようになっています。モデルによって異なりますが、多いのは秒針は10分ごと、時分針は30分ごとに確認する仕組みです。ただ、衝撃によるずれを瞬間的に認識する機能はなかったんですね。だから衝撃でずれが生じれば、自動で針位置が補正されるのに最大30分待たなければならなかった。今回の『タフムーブメント2』は一定以上の衝撃を受けた瞬間に検知して針位置補正を行うので、可能な限り早く直せるようになったんです」
──トリプルGレジストやカーボンファイバーの積極採用など、「グラビティマスター」の先進技術が後続モデルに採用された例は多数存在します。この「タフムーブメント2」も、今後他のモデルに採用されるのでしょうか?
小島「そうですね。日常的な利用において便利な機能が詰まっていますので、今後いろいろなモデルに展開していくことになると思います」
空でも街(スーツ)でも安心して使える、唯一無二の傑作G-SHOCK
──外装では「デュアル中空構造」が採用されています。理想を求めるためにトポロジー解析を採用されましたが、それによって導き出されたパーツの形状も独創的ですよね。
小島「そうですね。細かなディテールを成形するため、MIM(Metal Injection Molding:金属粉末射出成形)を用いています。金属粉末と結合剤(バインダー)を混ぜ合わせて金型に射出成形し、高温で焼結させて金属部品を作る技術です。切削加工では難しい細かな穴や薄肉形状も作れるため、必要な強度を保ちながら肉抜きと軽量化を実現できました。以前は焼成時の収縮管理が難しく用途が小さな部品などに限られていたのですけども、今回は成形精度が高まり、4方向からケースを支える大きな部品にも採用できました。成形後には研磨を施し、外観の質感も高めています」

──ショックアブソーバーが、ケースの隙間から見えるデザインも魅力的です。
小島「緩衝材は、この構造を成立させる重要な要素。それを完全に隠すのではなく、ボタン周辺やケースの隙間からあえて見せています。ただし、見せすぎるとおもちゃっぽい印象になるため、上質に見えるバランスを細かく調整しました。緩衝材の色をアクセントにしたバリエーションにも展開できるといいですね」
──どのような方に手に取ってほしいですか。
小島「『マスター オブ ジー』の高い耐久性や信頼性を、実際に着けて体感していただきたいです。普段使いしやすいサイズ感ですので、特別な環境だけでなく、普段から使っていただけると思います」
黒羽「アクティブに時計を使う方はもちろん、これまでスーツにG-SHOCKを合わせることをためらっていた方にも、ぜひ試していただきたいですね。航空分野を想定して磨いた技術ですが、その安心感は日常生活の中でも十分に実感していただけると思います」
近年に培われた各分野の先進技術の集大成とも言うべき完成度を誇る「グラビティマスター GWR-B3000」。フラッグシップと呼ぶにふさわしい進化を果たし、G-SHOCKの次の時代へと押し上げる一本です。
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G-SHOCK 公式WEBサイト
取材・文・撮影/横山博之
