「売る」「貸す」ができない時代へ? ディスク版が持つ「資産価値」という強み
ディスク版の大きな特徴のひとつが「資産として扱える」という点です。ここでは分かりやすく、「遊び終わったゲームをリサイクルショップなどへ売却できる」という部分に注目したいと思います。
ゲームという趣味は、数ある娯楽の中でも比較的コストパフォーマンスに優れた分野です。ゲーム機本体を購入する際には一定の費用が必要になりますが、趣味は初期投資にある程度の費用がかかる場合が多いため、突出した問題ではないでしょう。
その上、ゲームソフトは1本購入するだけで数十時間遊べますし、タイトルによっては100時間を超えるプレイ時間になることもあります。さらに、ディスク版なら、遊び終わった後に売却して購入費用の一部を取り戻すこともできます。
もちろん、すべてのユーザーがゲームを売却するわけではありません。思い出として手元に残しておきたい人もいるでしょう。しかし、「売ることができる」という選択肢が存在すること自体が、ディスク版の大きな強みです。
また、売却以外にも、ディスク版には「貸す」という使い方があります。友人や家族にゲームを貸し、実際に遊んでもらうことで、新たなユーザーを増やすきっかけになることもありました。
一方、ダウンロード版ではこうした利用方法はできません。購入したゲームはアカウントに紐づくため、手元にあるデータを売却することはできません。アカウントごと譲渡するという方法も考えられますが、これは規約違反となるため現実的な手段ではありません。
つまり、ダウンロード版では「購入したゲームの所有権を別の人へ移す」ということが実質的に不可能です。
もちろん、ディスク版にも弱点はあります。ディスクが傷ついたり、紛失したり、経年劣化によって読み込めなくなったりする可能性があります。それでも、「所有者の権利を移動できる」のは、ディスク版ならではの魅力です。
しかし、2028年1月以降では、このようなサイクルは維持することが難しくなるでしょう。ディスク版終了によって、ユーザーの購入意欲が高まるのか。それとも逆に、購入をためらう人が増えるのか。ゲーム市場全体に及ぼす影響も、注目すべきポイントです。
ストア終了でゲームが失われる? ダウンロード版が抱える保存問題
最後に考えたいのが、ダウンロード版ならではの大きな問題です。販売経路がどうなるかは別として、提供方法がダウンロード版のみになれば、ゲームデータの入手にはオンラインストアの利用が必須になります。
もちろん、現在でもアップデートや修正パッチの配信があるため、ディスク版であってもオンラインサービスは切り離せない関係と言えます。
しかし、「ゲーム本編そのものを入手する場所」がストアだけになると、その存在の重要性はさらに大きくなります。そこで問題になるのが、ストアが永久に存在する保証はないという点です。
実際、SIEは今回のディスク生産終了発表と同時に、PS3およびPS Vita向けPlayStation Storeのサービス終了についても発表しました。地域によって時期は異なりますが、2027年7月には全面的な終了を迎える予定です。
ストアが終了すれば、新規にゲームを購入することはできなくなります。また、購入済みコンテンツについては「サービス終了後も当面の間、引き続きダウンロードいただけます」とされていますが、将来的に再ダウンロードまで不可能になる可能性は否定できません。
今回の対象はPS3とPS Vitaですが、同じ問題はいずれPS4、そしてPS5にも訪れる可能性があります。もし将来的にPS5向けのストアが終了した場合、その時点でダウンロード版しか存在しないタイトルは、二度と入手できなくなると思われます。これは、ディスク版にはない、ダウンロード版特有の不安要素です。
ディスク版には「所有者の権利を移動できる」という強みがあるため、生産終了後も中古市場で流通が続きます。一方、ダウンロード版は、サービス提供側の環境に依存している面があり、ストア終了後の新規購入・再ダウンロードの問題は常につきまといます。
もちろん、だからといってディスク版が絶対的に優れているわけではなく、ディスクは破損や紛失のリスクがあります。また、アップデートや修正パッチの配信が標準的となった現在では、ディスクだけでゲーム体験を完全に保存できるとは限りません。
ディスク版にもダウンロード版にも、それぞれメリットとデメリットがあります。しかし、ストア終了という問題に直面した場合、ダウンロード版がより弱い立場になることは確かでしょう。しかも、この問題に対してユーザーが直接できる対策は限られています。
だからこそ、今回のディスク生産終了という発表に対して、不安や懸念が広がり、今も声があがり続けているのが現状です。
