きめ細やかな難易度調整が生む! 中毒性×高揚感
では、本作の楽しさは、ハクスラ要素による「中毒性」だけなのか? 個人的には、それだけではないと思う。本作ではその中毒性が、きめ細やかな難易度調整によって生まれる「高揚感」とセットになっているからだ。
先に書いた通り、本作は大量に出現するシャケを倒し続けるという要素を持っている。単純に、これは気持ちイイ。画面を埋め尽くすような敵を一気に倒すという時点で、強い爽快感がある。だが同時に、大量の敵に圧倒されるスリルも持ち合わせている。とにかくシャケの数が多い。気を抜けば、じわじわと押し込まれていく。
そんな状況を、どう立ち回って打開するか? そして実際に切り抜けられた瞬間には、敵を一掃する爽快感と、ピンチを乗り越えた達成感が一気に訪れる……! 控えめに言って最高! 至福を感じる瞬間だ。
つまり、「大量の敵を倒す爽快感」と「大量の敵に圧倒されるスリル」は表裏一体なのだ。敵の物量に押される感覚があるからこそ、それを押し返したときの気持ちよさも大きい。となれば、育成によって主人公が強くなりすぎれば、このスリルが失われ、爽快感まで薄れてしまいかねない。
この点で本作は、非常に絶妙なバランス調整がなされていると感じた。育成によって確かに強くなったと実感できる。しかし、それでも大量の敵に圧倒されるスリルは残っている。だからこそ、圧倒的な数のシャケと戦う高揚感を長く味わえるのだ。
もちろん、どれだけ絶妙に調整されていても、育成を続ければプレイヤーは強くなっていく。そこで本作には、複数の難易度設定が用意されている。歯ごたえが足りないと感じたなら、難易度を上げればいい。
設定画面から変更できるゲーム全体の難易度に加え、「辛口」「激辛」といったステージごとの難易度も存在する。これらを組み合わせることで、自分に合ったスリルを維持しながら、高揚感のあるハント(プレイ)を楽しめるというわけだ。
ガジェットが変える! 位置取りを巡る立ち回り
ハクスラ要素による「中毒性」、きめ細やかな難易度調整による「高揚感」。これらと並んで、本作の楽しさを決定づけているのが、新要素「ガジェット」だ。
ガジェットは、クールタイムを挟むことで何度も使用できる装備の一種。「スピード」「パワー」「テクニカル」の3系統に分かれている。
メイン武器とは別に使用する装備という点では、これまでのシリーズにも「サブ」や「スペシャル」が存在した。「サブ」はメイン武器とは異なる性質を持った補助装備。「スペシャル」はゲージを溜めることで使用できる、いわば必殺技的なアクションだ。
▲画像は『スプラトゥーン3』のスペシャル「ウルトラショット」
表面上だけを見れば、ガジェットもこうした「サブ」や「スペシャル」の延長線上にあるように思える。だが実際に使ってみると、ガジェットはこれまでの『スプラトゥーン』とは異なる立ち回りを生み出す要素だとわかる。
たとえば「スピード」系統で初期から使用できる「カチコミシューズ」と「ダッシュボム」。「カチコミシューズ」はジャンプしながら前方へ移動し、着地時にシャケへダメージを与えるガジェット。「ダッシュボム」は、爆風とともに前方へダッシュするガジェットだ。
大量のシャケが密集している場所へ「カチコミシューズ」で飛び込み、着地直後に「ダッシュボム」でダメージを与えながら離脱。そこから安全圏へ移動し、メイン武器で攻撃する。といった具合に、攻撃と位置取りをひと続きの動きとして組み立てられる。
あるいは「テクニカル」系統の「スケットボット」と「ツナガルバルーン」。「スケットボット」は、設置した場所で敵を引きつけながら自動攻撃してくれる、いわゆる固定砲台だ。「ツナガルバルーン」は2つ続けて設置できる風船型の爆弾で、2つの風船の間にもダメージ判定が生じる。
この2つを組み合わせれば、「スケットボット」で敵を引きつけ、その進行方向を挟むように「ツナガルバルーン」を展開。継続的にダメージを与えつつ、自分は安全圏から攻撃するといった立ち回りも可能だ。つまりガジェットは、単純に発動すればいいものではない。
どこで使うのか。どのガジェットと組み合わせるのか。敵との距離をどう取るのか。位置取りそのものを考えることが重要になっている。ここが、既存の「スプラトゥーン」シリーズとは異なる新鮮なポイントだ。
だからこそ、新作らしい驚きがある。そして、圧倒的に楽しい。
