春の雪どけより生まれ、四季折々の自然を伝える「薄氷本舗 五郎丸屋」の「薄氷」/人気店の定番スイーツ vol.42

口の中に入れると薄氷が溶ける様にスッと溶け、後に和三盆糖の独特の風味が残るお菓子「薄氷」。季節によって変わる美しい見た目もあり、ギフトにも人気です。

長年愛される「定番」スイーツ紹介の連載、第42回は、その名の通りの繊細な口どけのお茶菓子として知られる富山銘菓、「薄氷本舗 五郎丸屋」の「薄氷」をご紹介。季節ごとに登場する限定品の美しさ、愛らしさにも、思わず見とれてしまいます。

薄氷 薄氷本舗 五郎丸屋 店舗

春先の「薄氷」を表した上品なお干菓子

富山県小矢部市にある「薄氷本舗 五郎丸屋」は、江戸時代の宝暦2年(1752年)創業。その当時からの銘菓「薄氷」は、北陸の深い雪がようやくとけはじめる如月2月、弥生3月の早朝、田んぼの水面にうっすらと張った、今にも割れそうな氷を干菓子に映したものだそう。

繊細な味わいで多くの人に愛され、宮中や、加賀藩主・前田公により江戸の幕府にも献上されました。明治以降は宮内省の御用も務め、茶道界からも高い評価を得ている店で継承される、伝統の味です。

薄氷 薄氷本舗 五郎丸屋 職人手作り

「薄氷」は、富山特産のもち米「新大正米」を使用した極薄い煎餅に、阿波特産の高級和三盆糖を独自の製法で刷毛塗りし、乾燥させて作られます。完成まで丸2日ほどかかる、職人手作りの品です。

口の中に入れるとパリッとした歯応えがあり、まさに薄氷がとけるように口の中ですっととけ、後にふわりと和三盆糖の風味が広がります。

紙箱入の10枚、20枚、30枚入から、差し上げ物にもふさわしい木箱入りの32枚入、40枚入、50枚入もあります。封を空けると、繊細なお菓子が割れないよう、ふわふわの綿が緩衝材として敷かれていて、丁寧に包んであることにも、作り手の愛情が感じられます。

薄氷 薄氷本舗 五郎丸屋 紙箱入り

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四季折々のモチーフが登場する「季節の薄氷」

オリジナルも、自然を感じるままに切り取った美しい菓子ですが、四季折々の風物をモチーフとした「季節の薄氷」がこれまた愛らしく、ちょっとした手土産にもぴったりです。3~4月にかけては、うす紅色の桜の花びらを表現した春限定の「ひとひら」が登場します。

薄氷 薄氷本舗 五郎丸屋 ひとひら

初夏には、端午の節句の時期にふさわしい「あやめ」。また、川辺の闇に神秘的な光を放ちながら飛ぶ「蛍」を表した品も登場します。

薄氷 薄氷本舗 五郎丸屋 あやめ
薄氷 薄氷本舗 五郎丸屋 蛍

ラムネ瓶の形をした「季節の薄氷」は、楽しい夏にぴったりです。

薄氷 薄氷本舗 五郎丸屋 ラムネ

秋には黄金色に輝く「いちょう」の葉形になります。

薄氷 薄氷本舗 五郎丸屋 いちょう

さらに、12月にはクリスマスツリーを模した「季節の薄氷」も登場して、和菓子店が提案するクリスマスを楽しませてくれます。

薄氷 薄氷本舗 五郎丸屋 クリスマスツリー

年が明けると、愛らしい姿で私もお気に入りの「雪うさぎ」の季節が廻ってきます。

薄氷 薄氷本舗 五郎丸屋 雪うさぎ

これ以外にも、年末年始には、干支をモチーフにした限定の「薄氷」も販売。

さらに、現在のご当主である16代目の渡邊克明さんは、「薄氷」をベースに、味わいも多様にしてみようと、桜、抹茶、ゆず、胡麻、和三盆の五味五色にアレンジした「T五(ティーゴ)」を創作。観光庁主催の「世界にも通用する究極のお土産」にも選出され、新たなファン層が広がりました。

薄氷 薄氷本舗 五郎丸屋 パッケージ

バレンタインやホワイトデーの時期には、ハート形やショコラでコーティングした限定バージョンも登場し話題に。

伝統の技を活かしながら、常に新たな挑戦を続ける老舗の意気込みに、これからも注目したいですね。