3. 旧耐震か新耐震かを確認する方法
建物の耐震基準が旧耐震基準か新耐震基準かは、「建築確認日」が1981年6月1日の前か後かで判断します。1981年6月1日は新耐震基準が施行された日付です。「竣工(完成)年」で判断することはできないため、注意が必要です。
建物を建築する際には、建築基準法に適合しているか審査するため、着工前に建築確認申請を行う必要があります。審査後、適合していることを証明する「確認済証」が交付されてから工事が始まるという流れです。
したがって、この確認済証に記載された日付「建築確認日」が旧耐震か新耐震かの判断基準となります。
特に、マンションの場合は着工から完成までに時間がかかるため、建築確認日から竣工日が離れているのが一般的です。例えば、1981年6月以降に竣工した物件であっても、建築確認申請はそれ以前に行っていることになるため、旧耐震基準で建てられた物件と判断されます。
築40年くらいのマンションを購入する際は、事前に確認しておきましょう。
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4. 旧耐震物件の注意すべき点
旧耐震基準の物件は、価格が安く、比較的好立地に建っていることが魅力ですが、購入する際にあらかじめ知っておくべき注意点があります。詳しく見ていきましょう。
4-1. 建物の老朽化によるリスク
旧耐震基準の物件は、築40年程度経過していることになるため、経年による建物や設備の劣化が進んでいる可能性があることは理解しておきましょう。コンクリート造は耐久性が高く寿命も長いですが、電気やガス、給排水管の設備は20~30年が寿命となります。
きちんと定期的な修繕がなされている物件であれば問題ありませんが、されていないようであればかなり劣化が進んでいると考えられます。これまでの修繕履歴や今後の修繕計画など管理状況をしっかり確認しましょう。
また、築年の古い物件の中には、構造的に配管の更新がしづらいもの(コンクリートスラブに配管が埋設されているなど)もあります。旧耐震基準の物件を検討されている場合は、このあたりの部分も含め、十分に確認した上で購入することをおすすめします。
4-2. 建て替えや修繕積立金額が高くなることも
築年の古い物件では、建替えになるリスクも想定しておく必要があります。建替えは住民の5分の4以上の合意により決まるもの。したがって、実際にはハードルが高く簡単に決まるものではありませんが、建替えが決まった場合は一時的に多額の費用負担が発生する可能性があります。
購入時点で、マンション内で建替えの話が出ている場合は、総会の議事録などで確認が可能なため、不動産担当者に依頼し資料を取り寄せて確認することをおすすめします。
その他にも、建物修繕のために積み立てられている修繕積立金が、建物の劣化状況により大幅に見直され金額が上がるというケースもあります。
4-3. 税制優遇措置を受けるには耐震基準適合証明書が必要
マンション購入の際に多くの方が利用する住宅ローンには、一定の条件を満たした場合に税制優遇が受けられる「住宅ローン控除」があります。その条件の中には、耐震基準を満たすことも一つの条件となっており、証明となる「耐震基準適合証明書」の提出が必要になります。
旧耐震基準のマンションでも、耐震診断を行っていて現行の耐震基準を満たすことが証明できる物件であれば、耐震基準適合証明書の発行が可能です。証明書の発行には建築士事務所や指定確認検査機関等に依頼する必要があり、費用も5~8万円程度掛かります。
発行の際の注意点としては、必ず物件引渡し前に実施すること。そして発行までに1ヶ月程度期間もかかるため、発行を希望される方は早めに手配を行いましょう。