【定年退職後の手続き一覧】保険や年金の切り替え期限に注意しよう!

退職後におこなうべき手続きはご存知ですか?すぐに転職しない場合、保険や年金の切り替えをおこなわないと、損をする可能性があります。今回は、退職後にすぐに済ませておくべき手続きについて解説します。安心して退職をむかえられるように事前に準備しておきましょう。

失業保険の受給資格や受給できる金額は?

退職前にやっておくべきことは?

退職後の新生活を順調にスタートさせるための準備は、退職前から始まります。退職までは業務の引き継ぎや退職のあいさつ回りなど慌ただしい日々が続きますが、以下の手続きは必ず忘れずに済ませてから、退職の日を迎えるようにしましょう。

退職日までの準備一覧

ここでは、退職日までに済ませておくべき準備一覧をご紹介します。退職日の直前に準備を始めると手続きに時間がかかることもあります。余裕を持って準備をすることで、安心して退職日をむかえることができるでしょう。

・会社から貸与されていたものを返却する
・健康保険証を返却する
・離職票を受け取る
・年金手帳を返却してもらう
・雇用保険被保険者証を受け取る
・健康保険資格喪失証明書を受け取る
・源泉徴収票を受け取る

会社から貸与されていたものを返却する

自分の名刺や取引先の名刺、社員証、オフィスやデスクの鍵、IDカードや制服、スマートフォンやパソコン、USBメモリなど会社から貸与されていた備品はすべて返却しましょう。
備品によっては、上司に返却するものや人事部、総務部に返却するものなど、返却場所が異なります。事前に、返却場所や受付時間を確認しておきましょう。

健康保険証を返却する

本人のものはもちろん、扶養家族の健康保険証もすべて返却します。返却せずに退職後も健康保険証を使って診療を受けると、全額が自己負担になってしまいます。

離職票を受け取る

離職票は離職したことを証明する文書で、退職後に失業手当を申請する際にハローワークに提出します。企業によって退職する人全員に離職票を出すケース、申請に応じて出すケースなど対応が異なるので、退職後に失業手当の申請を予定している人は必ず受け取れるよう、会社側に伝えておきましょう。

なお、離職票はあくまでもハローワークに提出するものであり、転職先の企業には提出しなくても良いので、退職後すぐに他の企業への就職が決まっている人は離職票を受け取る必要はありません。

年金手帳を返却してもらう

会社に年金手帳を預けている場合は、返却してもらいます。

雇用保険被保険者証を受け取る

雇用保険の被保険者であることの証明書で、本人の氏名や生年月日、被保険者番号が記載されています。退職後に他の企業に転職する場合、転職先の企業に提出が求められるため、退職時に必ず受け取るようにします。

健康保険資格喪失証明書を受け取る

会社で加入していた健康保険の被保険者でなくなったことを証明する文書で、退職を機に社会保険から国民健康保険に切り替える際に提出が求められます。

ただし、健康保険資格喪失証明書の発行は会社側に法律で義務付けられているものではないため、会社によっては発行をしてくれない場合があります。その場合は、本人が年金事務所に出向いて発行を申請し、受け取ることになります。

源泉徴収票を受け取る

転職先の会社で年末調整を受けるために提出を求められます。また、年末までに就職しない場合は、自分で確定申告することになりますが、その際に必要になるので、必ず退職時に受け取っておきましょう。

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退職後、すぐに就職しない場合は雇用保険(失業保険)の申請を

退職後、しばらく就職しない場合や次の就職先が決まっていない場合は、住所地のハローワークで申請し、受給資格が認められると雇用保険(通称:失業保険)の給付を受けることができます。

失業保険の受給資格や受給できる金額は?

失業保険の受給資格は以下のとおりです。

・雇用保険に加入していること
・雇用保険の加入期間が退職前の2年間で12ヶ月以上(※)であること(1ヶ月にカウントされるのは、勤務した日が11日以上ある月のみ)
・働く意志、能力があるのに就職できない状態にあること

※退職の理由がリストラなど会社側の都合である場合は、「特定受給資格者」に認定されるので、雇用保険の加入期間の条件が緩和され、加入期間が退職前の1年間に6ヶ月あれば受給資格を得ることができます。

失業保険は、離職中ですぐに働きたいのに就職先がみつからない人のために整備された制度です。そのため、以下の要件に当てはまるとみなされた人は、原則として失業手当を受給できません。

・雇用保険に加入していない人
・病気やケガなどですぐに就職できない人
・出産や子育てですぐに就職できない人
・すぐに就職する意思がない人

失業手当の金額や受給できる期間は退職時の年齢や雇用保険に加入していた期間、退職の理由などによって異なります。
金額は在職中の給与の50~80%、受給できる期間は90日~360日です。

失業保険申請~受給までの流れ

失業保険の申請期限は原則として退職の翌日から1年以内です。受給を希望する場合は必要な書類が揃ったら、なるべく早くハローワークで申請を済ませましょう。
申請~受給までの基本的な流れは以下のとおりです。

1. 申請

ハローワークで以下の書類を提出し、面接を受けます。申請時に必要な書類は以下の通りです。

・離職票
・雇用保険被保険者証
・本人の住所、氏名、生年月日が証明できるもの(運転免許証、マイナンバーカードなど)
・本人の証明写真(たて3cm✕よこ2.5cm)2枚
・本人名義の銀行通帳
・印鑑
・求職申込書
・マイナンバーが確認できるもの(マイナンバーカードや通知書)

2. 受給資格の決定

ハローワークに求職の申請をした上、規定の条件を満たさないと受給することはできません。その条件とは「失業状態であること」「退職日以前の2年間に雇用保険加入期間が通算12ヶ月以上あること」「ハローワークに求職の申し込みをしていること」の3点です。

3. 待機期間(7日間)

会社都合による退職の場合は7日間の待機期間ですが、自己都合の場合はその後さらに2ヶ月間の給付制限があるので注意してください。

4. 雇用保険受給説明会

失業保険を受給するための説明会である「雇用保険受給説明会」は、求職活動に該当します。講習の受講がそのまま求職活動として認められるため、失業保険認定日までに必要な求職活動の実績の「1回」にカウントされます。

5. 失業認定日

指定された日にハローワークへ行き、求職活動の状況を申告するなどして、失業状態にあることの認定を受けます。

6. 失業手当の振り込み

失業手当が振り込まれるのは、失業認定から約1週間後です。以後、再就職先が決まるまでの間もしくは給付期限終了までの間、失業認定→手当の振り込みが4週間毎に繰り返されることになります。

なお、退職の理由が自己都合である場合は、7日間の待機期間に加えて、2ヶ月(※)の給付制限期間が設けられ、その間は失業手当が受給できないことに注意が必要です。

※給付制限期間は以前は3ヶ月でしたが、令和2年10月から2ヶ月に短縮されました。詳しくはこちら

定年退職後も失業保険がもらえる場合も

失業保険は65歳未満の求職者を対象とした制度です。したがって定年退職者であっても65歳未満で、働く意思と能力があり、求職活動をしていれば失業保険の受給対象となることができます。

なお、失業保険では離職時の状況によって受給者を「一般離職者」と「特定受給資格者」と分けており、原則として、雇用継続を希望せずに定年退職した場合は「一般離職者」に、雇用継続や再雇用を希望したのに認められず、退職に至った場合は「特定受給資格者」に認定されます。

特定受給資格者に認定されると、一般離職者よりも給付日数が多くなるなど給付条件が良くなります。特定受給資格者に認定されるか否かはハローワークが就業規則などを参考に判断することになっていますが、定年後に失業保険の受給を考えている人は、自分でも就業規則などで雇用継続や再雇用に関する規則を確認しておくと良いでしょう。

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