【定年退職後の手続き一覧】保険や年金の切り替え期限に注意しよう!

退職後におこなうべき手続きはご存知ですか?すぐに転職しない場合、保険や年金の切り替えをおこなわないと、損をする可能性があります。今回は、退職後にすぐに済ませておくべき手続きについて解説します。安心して退職をむかえられるように事前に準備しておきましょう。

期限に注意!健康保険の切り替え

退職後、すぐに就職する場合は新しい勤務先の健康保険に加入することになりますが、そうでない場合は次の3つの選択肢があります。いずれも申請や届出に期限が設けられているので、退職後はできるだけ速やかにおこなうようにしましょう。

① 国民健康保険に加入する(資格喪失から14日以内)

国民健康保険に加入する場合は、退職して勤務先の健康保険の被保険者資格を喪失してから14日以内に、住所のある市町村役場で加入の届出をおこないます。14日を過ぎて届出をおこなった場合、その日以降が国民健康保険の給付対象になるため、退職前の健康保険の資格喪失後~届出日までに発生した医療費は全額が自己負担になってしまいます。必ず14日以内に届出をおこなうように注意しましょう。なお、国民健康保険の保険料は市町村によって異なります。事前に金額を確認したい場合は、市町村の窓口に問い合わせてください。

② 任意継続被保険者制度(資格喪失から20日以内)を利用する

一定の要件を満たせば、退職後も例外的に引き続き個人で加入できる「任意継続被保険者制度」(最長2年間)を利用することもできます。在職中の健康保険料は会社との折半ですが、任意継続被保険者制度の場合は当然ながら全額自己負担となることに注意が必要です。継続を希望する場合の手続きは健康保険組合によって異なるので、退職前に確認しておきましょう。

【任意継続被保険者制度の利用要件】
・資格喪失日(退職日の翌日等)までに健康保険の被保険者期間が継続して2ヶ月以上あること
・資格喪失日から20日(20日目が土日・祝日の場合は翌営業日)以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること
・75歳未満であること

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③ 家族の健康保険の扶養に入る(なるべく早く)

配偶者や両親が勤務先の社会保険に加入していれば、その扶養に入るという選択肢もあります。ただし、扶養に入るには原則として以下のような要件を満たす必要があります。

・被扶養者の年収が130万円未満で、かつ被保険者の収入の2分の1未満であること
・配偶者または3等親以内の親族であること
・被保険者により生計が維持されていること

また、保険によっては失業保険を受給している人は扶養に入れないこととしている場合もあります。

いずれにせよ健康保険に加入していないと医療費が全額自己負担になってしまいます。必ず期限内に届出・手続きを済ませるようにしましょう。

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年金の切り替え

退職後すぐに就職しない場合は、国民年金に切り替えるか、家族の扶養に入るかの2つの選択肢があります。年金保険料の未納期間があると、将来、受け取れる年金の額が減ってしまうおそれがあるため、速やかに切り替えの手続きを済ませるようにしましょう。

① 国民年金保険に切り替える

国民年金保険に切り替える場合は、退職後14日以内に、住所のある市区町村の年金窓口で手続きをおこないます。
必要な書類は、年金手帳、離職票、本人確認書類、印鑑です。厚生年金は給与から自動的に控除されていましたが、国民年金の保険料(令和4年度は1万6,590円)は、年金事務所から送られてくる納付書を使って、自分で納付する必要があることに注意してください。

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② 家族の年金の扶養に入る

会社員や公務員(かつ厚生年金に加入している)の家族に扶養されていれば、国民年金の「第3号被保険者」になることができ、自分で国民年金の保険料を納付しなくても、その期間は保険料を納付したとみなされて、老後に受け取る年金額に反映されます。ただし、家族の扶養に入るためには、以下の要件を満たす必要があります。なお、被扶養者が失業保険を受給している場合は扶養に入ることができません。

・年収が130万円未満(60歳以上の場合は180万円未満)かつ被保険者の年収の2分の1以下であること
・配偶者または3等親以内の親族であること
・被保険者により生計が維持されていること

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