ナトリウムの排出を促進血糖値の急上昇も防ぐ!

こうしたエビデンスを踏まえ、患者さんたちに野菜を食べることをお勧めをしているわけですが、なかでも、私が食前キャベツをお勧めしていることには3つの理由があります。

高血圧の予防・改善効果

キャベツには、カリウムが豊富に含まれています。カリウムには、体内の余分なナトリウムの排出を促し、血圧を下げる働きがあります。

もともと日本人は、日常的な食塩の摂取量が多く、しかも食塩感受性の高いかた(食塩摂取量が血圧に反映するタイプ)が高血圧患者の半数近くを占めています。

そのようなかたがカリウムの多いキャベツを積極的にとれば、ナトリウムの排出が促され、血圧の降下や、血圧を低めに安定させる効果が期待できるでしょう。

糖尿病の予防・改善効果

食前にキャベツを食べておくと、その後の食事によって血糖値が急激に上昇するのを防ぐ効果があります。

白いご飯などの糖質を、食事の最初に多くとると、血糖値の急激な上昇を招き、それが膵臓への負担となります。血糖値の激しい上下動や高血糖状態が続くことで、血管に負担がかかり、糖尿病へとつながっていきます。

食前キャベツは、血糖値の急上昇を抑えることで、膵臓の負担を減らし、糖尿病の予防・改善に役立ちます。

肥満予防効果

食物繊維は余分なコレステロールの排出も促し、かつ糖質の吸収も抑制できるので、肥満予防になります。食前キャベツを続けることで、太りにくくなれば、それも生活習慣病の予防・改善の助けとなるはずです。

 実は、私自身も食前キャベツを実践している一人です。

私の家系は典型的な高血圧家系で、家族の多くが高血圧に悩まされてきました。それがわかっていましたから、自分自身も、昔から食事には気を遣ってきました。

その工夫の一つが、毎日朝食の初めにとる山盛りのキャベツというわけです。私はこれにアマニ油を垂らして食べます。あとは、雑穀米と青魚。こうした朝食を30年間続けてきました。

そのおかげで、高血圧家系の私ですが、高血圧にならず、健康体を維持できています。

高血圧、糖尿病といった生活習慣病や心血管系の病気が気になる中高年のかたには、ぜひ食前キャベツをお勧めしたいと思います。

ただし、腎臓が悪いかたや、ワーファリンを服用中のかたは、カリウムをたくさん摂取することが勧められない場合がありますので、ご注意ください

桑原先生の「食前キャベツ」

キャベツの健康効果
高血圧の予防・改善
豊富なカリウムが体内の余分なナトリウムの排出を促し、血圧を下げる。
糖尿病の予防・改善
食物繊維が血糖値の急激な上昇を抑制する。
肥満の予防
食物繊維が余分なコレステロールの排出を促す。糖質の吸収も抑制する。

この記事は『壮快』2022年6月号に掲載されています。

画像参照:https://www.makino-g.jp/book/b604697.html