「がん制度ドック」で利用できる制度、保障を確認


病気治療と保険
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これからがん治療が始まりますが、利用できる公的保障や加入している民間の保険で給付対象となるものがあるか確認をしておきましょう。

がんになったら「がん保険」しか保障の対象とならないと思う方もいるかもしれませんが、健康保険等で利用できる制度を確認しておくことがとても大切です。

「がん制度ドック」は「NPO法人がんと暮らしを考える会」が運営しているサイトですが、下記項目を入力し、加入している健康保険の種類や、加入している年金の種類、がん罹患の収入の変動(「がん罹患前と比べて減少した」、「ローン・負債の返済が困難」など)を入力、選択していくだけで、利用できる公的制度などを幅広く確認できます。

    年齢
    性別
    罹患したがんの部位
    がんを発見するきっかけになった医療機関の受診日
    主治医から、今後の治療方法の内容
    現在の病状、体調
    家族構成

がん制度ドック

生命保険の加入状況についても詳細に保障内容を入力できるので、まずこちらのサイトで確認されることをお勧めします。また今後、治療方法、体調の変化があった際は利用できる制度、保障も変わることが考えられますのでその都度確認をしてみましょう。

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継続して続く治療費を抑える仕組み「高額療養費・多数回該当」


医療費と保険
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高額療養費制度により、医療費の自己負担限度額は、下表のように、年齢と所得に応じて決まります。

70歳未満の方の区分【平成27年1月診療分から】

注)「区分ア」または「区分イ」に該当する場合、市区町村民税が非課税であっても、標準報酬月額での「区分ア」または「区分イ」の該当となります。

Kさんの年収は現在420万円で70歳未満ですので1カ月の医療費の自己負担限度額は下表の区分(ウ)に該当します。自己負担額の上限は下記の金額になります。

8万100円+(保険適用される医療費の総額-26万7000円)×1% 

たとえば、健康保険適用の医療費の10割負担分が月200万円かかった場合、通常の負担割合3割で計算すると、支払う医療費は、200万円×30%=60万円になります。しかし高額療養費の計算式で計算すると

8万100円+(200万円-26万7000円)×1%=9万7430円

となり、実際の医療費負担は10万円以下になります。

このように医療費の月額の上限額を具体的に把握しておくと安心です。また1年間で自己負担限度額を超える月が3カ月以上ある場合には、4カ月目から医療費の自己負担限度額をさらに軽減する「多数回該当」という制度があります。Kさんが「多数回該当」に該当するようになった場合、1カ月の医療費の上限は4万4400円となります。

今後の治療方針で、継続した治療が1年間で3カ月以上続く場合は、健康保険適用の医療費は、月額上限4万4400円であることを理解しておきましょう。