体力づくりや骨粗鬆症の予防に片足立ちがお勧め

とはいえ、運動不足の人や筋力が低下している人が、いきなりジョギングやスクワットといった運動を行うのは難しいのではないでしょうか。

こうした運動は継続することが重要ですが、長続きもしづらいでしょう。また、まとまった時間が取れない、腰やひざが痛む、といった理由でできない人も少なくないと思います。

そんな人にお勧めできるのが、バランス運動です。これは片足立ちやステップ練習、体幹のバランス運動といったものを指します。

バランス運動のなかでも、私が特にお勧めするのは「片足立ち」(やり方は下項参照)です。

片足立ちは、少ない負荷で筋肉を増強でき、体力づくりに役立ちます。つまり、特に有酸素運動やレジスタンス運動ができない人には、片足立ちが高血糖の運動療法の入門編として適しているといえるでしょう。

また、糖尿病と骨粗鬆症は密接な関係があります。

糖尿病になると、高血糖やそれによる酸化ストレス、インスリンの作用不足によって、骨の新陳代謝が低下。さらにインスリンの作用不足は、腸でのカルシウム吸収の低下を招きます。こうしたことから、糖尿病の人は骨粗鬆症になりやすいことがわかっています。

片足立ちは、両足で立つのと比べて2.75倍の負荷が骨にかかるので、骨密度アップも期待できます。体力づくりのほかに、骨粗鬆症予防としても有効なのです。ですので、有酸素運動やレジスタンス運動ができない糖尿病の人は、積極的に片足立ちを行いましょう。

もちろんこうしたことは、糖尿病や高血糖に限った話ではありません。筋力が低下しやすく、骨粗鬆症になりやすい高齢者にも片足立ちはお勧めです。フレイル(心身が虚弱した状態)の改善や予防に役立つでしょう。

ひざや腰に痛みがある人やバランスがほとんど取れない人は、主治医に相談したうえで、できる範囲で行いましょう。無理はしないでください。

片足立ちを続けて筋力がアップすると、転びやすい、つまずきやすいといった状態が改善できて、新しい運動への意欲もわいてくるはずです。

まずは、いつでもどこでもできる片足立ちから始めてみてはいかがでしょうか。

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品川先生お勧めの
片足立ちのやり方

※①、②を1セットとして、1日3セット行う。食前など、日常的な習慣とひもづけて行うとよい。
※早朝に血圧が高い人は、なるべく早朝は避けたほうがよい。
※慣れてきたら、1分を目標にして行う。30秒が難しい場合は、まずは10秒からでもかまわない。
※さらに慣れてきたら、壁や机から手を少し離して行う。
※無理をせずにできる範囲で行う。

❶壁や机に片手を着く。右足を5cm程度浮かせて30秒キープする。
❷左足を5cm程度浮かせて30秒キープする。

この記事は『壮快』2022年8月号に掲載されています。

画像参照:https://www.makino-g.jp/book/b607723.html