妊娠・出産費用で医療費控除の対象にならないもの

一方で、妊娠・出産時にかかる費用の中にも、医療費控除の対象にならないものがあります。以下で確認しておきましょう。

医療費控除の対象にならない費用

・妊娠検査薬の費用
・入院時のパジャマや洗面具などの日用品費
・里帰り出産をするときの帰省費
・入院時の出前
・入院で個室を利用した場合の差額ベッド代
・病院へのお礼の菓子代
・出生前診断の費用

薬局で買ってきた妊娠検査薬を使って自ら行う検査は対象外。差額ベッド代は、医師の指示によるもの以外は対象外です。また、出生前診断は、妊娠10週以降に赤ちゃんのDNAから健康かどうか検査するものですが、このような任意の検査は対象外となります。

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医療費控除でいくら戻ってくる?


医療費控除
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では、具体的に医療費控除を受けるといくら税金がお得になるのでしょうか。
計算の流れを確認した後に事例をみていきましょう。自分でも効果を試算できるようになります。

まず、医療費控除は、次のように計算されます。

医療費控除=(支払った医療費)-(補てんされる金額)-10万円

ここにある「補てんされる金額」とは、健康保険から支給される出産育児一時金や高額療養費、生命保険に加入している人が受け取る入院給付金などが当てはまります。

次に、所得税が還付額される金額や、翌年の住民税の軽減額を計算します。

所得によって還付金額は違う

所得税は、累進課税といって、課税される所得が高くなると徐々に税率も高くなります。ですから税金の軽減額は、医療費控除の額にその人が適用される所得税率を掛けると所得税の還付額が分かります。所得税の税率は以下です。

〈所得税率〉



 
なお、住民税は一律10%となっています。

返ってくる金額のシミュレーション

事例をもとに医療費控除の効果をみていきましょう。

Aさんの場合
・年収600万円(課税所得290万円とする)
・医療費控除対象となる出産費用・・60万円
・出産育児一時金・・42万円
・所得税率10%、住民税率10%

医療費控除の金額は、
(支払った医療費60万円)-(補てんされる金額42万円)-10万円=8万円

つまり、医療費控除の申告をすることによって、

所得税・・(医療費控除8万円)×(所得税率10%)=8000円
住民税・・(医療費控除額8万円)×(住民税率10%)=8000円

合計1万6000円の税金の負担が減るということになります。