投資信託で資産運用をする際に考えるポイントとは?アセットアロケーションやリバランスについても解説!

資産運用期間とリスクを把握する

資産運用をする際にまず考えなえければならないのが、自分自身はどれくらいのリスクが取れるのかということです。

リスクは日本語では「危険」や「危険性」といった意味で使われますが、経済学では一般的に、「ある事象の変動に関する不確実性」を指し、ファイナンスの分野ではプラスの影響とマイナスの影響のどちらも与えるものであるとされ「リターン(収益)の変動」、つまりリターンのブレの大きさを指します。

リスクとリターンは表裏一体であり、リターンが高ければリスクも高くなります。(図2)

図2 リスクとは「リターンのブレ幅」

リターンに目がいきがちですが、リターンとリスクは表裏一体であり、リターンが大きければリスクも大きくなるということを理解することが大切です。

また、投資信託のファンド情報に記載されているリターンは、あくまで過去のリターンであって将来のリターンが約束されたものではないということを、念頭に置いて資産運用を行いましょう。

そして、自分はどれくらい資産が目減りしても精神的に耐えられるかを考えて、商品を選択することが重要です。投資信託は変動する商品ですので、含み損はみんな経験するものだと思ってください。

リスクを考える上でポイントになるのが資産運用期間です。

下記のグラフ(図3)は外国株式の過去の保有期間別のリターンをグラフにしたものです。

図3 外国株式(保有期間別リターン)

ご覧の通り、1年間の保有ですと66%上がった年もあれば、53%下がった年もあり、過去のデータから見ると将来もこの程度のリスク(リターンのブレ)が考えられることになります。

ただ、20年程度保有すると年率換算で5%から15%の間に収束しています。長期保有することによりリスクを小さくすることも可能です。

「20代30代の人が老後資産形成の為に外国株式に投資することはリスクが小さく、逆に60歳の時に退職金を運用して5年後に現金化しようとするとリスクが大きくなる。」といったことが言えます。

また、外国債券の過去の保有期間別のリターン(図4)を見ると、外国株式よりもリスクが小さいことがわかります。

資産運用期間が短い場合は外国債券を選択するなど、資産運用期間と自分自身のリスク許容度を鑑みて商品を選択しましょう。

図4 外国債券のリスク

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長期運用をするならアセットアロケーションをしっかり考える

資産運用期間が決まり、どの投資信託に投資をしようかと商品を選ぶ前に、重要になってくるのがアセットアロケーション(資産配分)です。

老後に向けた資産形成など長期での資産運用をしていく上では特に重要です。

「アセットアロケーション」とは?
資産配分という意味です。運用に伴う様々なリスクを低減しつつ、効率的なリターンを目指す上で、投資資金を複数の異なった資産(アセット)に配分(アロケーション)して運用することをいいます。
アセットアロケーションは個別の銘柄選定よりも、トータル・パフォーマンスに占める寄与度が高いと言われます。現代ポートフォリオ理論では、長期投資での収益要因の約90%がこのアセットアロケーションだとされています。(アセットアロケーション理論を発見した功績により、アメリカの経済学者マーコビッツは1990年にノーベル経済学賞を受賞しました。)

アセットアロケーションの考え方

資産運用の投資対象とする「市場」と「場所」に資産を配分することを基本とします。

例えば、「株式」「債券」「不動産」「商品(コモディティ)」といった市場と、「日本」「米国」「先進国」「新興国」「世界全体」といった場所です。同じようなリターンやリスク特性を持つ投資対象の資産種類や分類のことを「アセットクラス」呼びます。

アセットアロケーションでの組み合わせの基本は、期待リターンに対してどれだけリスクを抑えることができるかということです。先ほどお話ししたように、期待リターンを高めるためにはそれだけ高いリスクを背負う必要があります。

アセットクラスの組み合わせは、自分自身のリスク許容度に応じて変わってきます。リスクをあまり取りたくない方は、国内債券など債券中心の組み合わせを検討することになり、リスクが取れる方は外国株式など株式中心のアセットクラスを組み合わせます。

例えば、私たちの年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、長期的な観点から国内債券25%、外国債券25%、国内株式25%、外国株式25%(2020年4月1日から)としています。

市場運用を開始した2001年度から2022年度第2四半期までの収益額は99兆9,567億円で、収益率は年率3.47%となっています(年金積立金管理運用独立行政法人 2022年度第2四半期運用状況(速報)より)。

GPIFは公的年金を運用しているので、リスクを抑えて安定的な収益を目指した運用を行っていますので、個人投資家のみなさんも参考にすると良いでしょう。

自分にあったアセットクラスの組み合わせは、その資金の目的や資産運用期間などによって変わってきます。

「リスクを積極的にとって大きく増やすことを目的とするのか。」それとも、「インフレに負けないための着実な財産形成を目的とするのか。」どのような運用方針にするのかによって組み合わせは変わります。

分散投資によってリスクを抑制する

ポートフォリオとは金融資産一覧のことで、「どのような金融資産にどのくらいの金額を投資しているか」という具体的な商品の組み合わせのことをいいます。

アセットアロケーションでは、分散投資をすることによりリスクを抑え、期待リターンを高めることができます。

分散投資とは、値動きが違う(負の相関関係にある)資産を組み合わせることです。

例えば、一般的には「日本株が上がれば、国内債券は下がり、国内債券が下がれば、外国株式は上がる」といった負の相関関係があります。
参照:三菱UFJ国際投信 |(参考)各ファンドの相関関係

ネットやYouTubeでは、全世界株式ファンドや米国のS&P500に連動するファンドをおすすめされているのが目につきます。

全世界株式ファンドとS&P500連動ファンド、世界成長株ファンドのポートフォリオを組み、それで分散投資ができていると思っている人もいるかもれません。

確かに企業の分散はできていますが、アセットアロケーションの観点からはどれも「外国株式」のアセットクラスですので、分散ができているとは言えません。

どれも基本的には同じような値動きになり、急落相場のときは全資産が下がり大きな損失をだしてします。

ポートフォリオを組む前に、しっかりとアセットアロケーションをすることをおすすめします。