直径3mm以上の太い血管には「レーザー治療」



――もう1つのレーザー治療についても教えてください。

佟先生 僕のクリニックでは、手の甲や腕の部分の直径3mm以上の太い血管を、血管の内部からレーザーで焼灼する治療をおこなっています。具体的には、血管を穿刺(せんし)してカテーテルを入れて中からレーザーで焼いて血管をつぶします。これは施術というよりも手術といったほうが近いかもしれません。

――レーザー治療と聞くと、外側から照射するイメージがあります。

佟先生 外側から照射するのは体外レーザーといって、ある程度は血管を収縮させることができます。ただし、時間がたつと再度、血管が浮き出てくるので、僕のクリニックでは使用していません。実際、他のクリニックで体外レーザーの施術を受け、再び血管が目立つようになってこちらにいらっしゃるお客さんは多いんです。

――「レーザーで血管を焼く」というのは、なんだか怖そうです………。

佟先生 僕がおこなっているハンドベインのレーザー治療は、足の病気である下肢静脈瘤の標準的な治療法でもあるんです。専門的な知識と経験を持つ医師がおこなうことで、安全性が確立しています。

――レーザー治療は痛みがあるのでしょうか?

佟先生 胃カメラ検査を受けるときのような麻酔をしておこないますから、施術中の痛みは0です。ただし、その後1週間から10日ほどのダウンタイムがあり、その間は痛み止めで抑えられる程度の痛みが生じます。

――ダウンタイムがあるのは、なんだかつらそうです。

佟先生 施術後は手や腕が腫れてしまうので、お客さんが不安になるのも当然です。僕はお客さんには「ダウンタイムを一緒に頑張りましょう」とお話をしており、インスタグラムに届いたダイレクトメッセージに全部、返信しているんです。毎日の返信に時間を取られているので妻には怒られているのですが(笑)。でも、お客さんの不安を少しでも軽くしてあげたいと思っているんです。

――レーザー治療もカウンセリングの後、すぐに受けられるのでしょうか。

佟先生 カウンセリングの際に当日の治療希望と伝えてもらえれば、治療が可能な日時にカウンセリングを設定します。遠方からの方や多忙な方の場合は、通院の回数をできるだけ減らしてあげたいですからね。

――硬化療法、レーザー治療ともに、治療時に気を付けることはありますでしょうか。

佟先生 いずれの治療を受ける場合でも、治療後は腕に包帯を巻いて帰ることになりますから、長袖やカーディガンを用意したほうが良いでしょう。お持ちにならなかった方のために、僕のクリニックでは貸し出し用のカーディガンを用意しています。

取材・文/熊谷あづさ(50歳)
ライター。1971年宮城県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、会社員を経てライターに転身。週刊誌や月刊誌、健康誌を中心に医療・健康、食、本、人物インタビューなどの取材・執筆を手がける。著書に『ニャン生訓』(集英社インターナショナル)。

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著者/監修/佟 暁寧 先生
とう ぎょうねい。大阪静脈瘤クリニック院長。2010年9月清華大学第一附属病院心臓血管外科医員、2011年9月清華大学大学院心臓血管外科専攻博士課程、2018年4月大阪大学医学部附属病院心臓血管外科などを経て2019年4月伏見静脈瘤クリニック入職。2021年7月現クリニック入職。下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医。Instagram:@zetith.tong