【2023年国際女性デー】子供の晴れの日なのにマスクで顔を隠すー。あるシングルマザーの存在をきっかけに生まれた『コスメバンク プロジェクト』が目指す世界

3月8日は「国際女性デー」。1904年に婦人参政権を求めたデモがニューヨークで行われたことが起源となり、1975年に国連によって制定された。ジェンダー平等の実現を求めて声を上げ、行動する日であり、世界中で様々なデモやイベントが開催された。

2022年のクリスマスには38社もの企業の支援が集まった


ギフト発送には化粧品メーカーや自治体、大学生らがボランティアで参加/写真提供:コスメバンクプロジェクト

化粧品は各企業の協賛により集められるとしても、それを発送するためには運送コストや人員も必要だ。

「昨年のクリスマスには38社の企業さんから化粧品や寄付金のご提供があり、一部梱包などにかかる人的支援もいただきました。さらに、自治体や大学の学生さんも梱包に参加してくれました」

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メイクをする時間がないのではなく、物理的に手に入れることができないという現実


メイクアップ講座の様子/写真提供:コスメバンクプロジェクト

化粧品を届けるだけでなく、シングルマザー向けに就業支援のためのメイクセミナーを開くなど、活動の幅はどんどん広がっている。

「ただお渡しするだけでは使い方がわからないという方も。プロフェッショナルによるメイク講座で、参加者さんの顔つきも始まる前と後ではまったく変わり、女性にとって化粧品がどれほど不可欠なものか目の当たりにしました」

シングルマザーだから忙しくてメイクができないのではなく、そこには所得という問題があるそう。

「ギフトをお送りした方々の属性をアンケート調査したところ、平均年収が200万円に満たない方々が7割以上もいました。メイクを楽しむ余裕がないのではなく、物理的に不可能なんです。まずお子様の食事が最優先で、自分のことは食事さえも我慢する。中には生活保護を受けている方もいらっしゃるので“自分には無縁なものだと思い諦めていた”という声も。ともすれば嗜好品、贅沢品とも捉えられる化粧品ですが、コスメを通じて自分のケアをすることでリラックスできたり、自信に繋がったりと自己肯定感をあげてくれるものなのだと、この活動を通じて再認識することができました」