嫌な人間関係は全部やめていい
でも、安心してください。前頭葉の萎縮が始まってからでも、老化を防ぐ術はあります。
前頭葉は、想定外のことや新たな刺激に対処するとき、何かを創造するときに活性化します。ドキドキワクワクが前頭葉の働きを高めるのです。「ふだんと違うことをしよう」と意識し、行動することが大切です。
逆に、変化のないルーティン化した生活を送っていると、前頭葉の老化が進みます。
例えば、ランチは麺類と決めている、本は小説しか読まない、洋画は吹き替えしか見ないなど、日常生活には前頭葉の老化に拍車をかける行動パターンがいくつも潜んでいます。
できるところから変えてみましょう。失敗したとしても、たかが知れています。「毎日がチャレンジ」と思って、心躍らせることが大事です。
毎日がチャレンジ!
また「我慢」も前頭葉にストレスをかけ、老化を早めます。70歳になったら、我慢はとことん避けましょう。
嫌な人間関係は、全部やめていいのです。夫婦関係も例外ではありません。
70代にもなれば、夫婦間でもミスマッチが起こるでしょう。「離婚するほどではないけれど、いっしょにいるとイライラする」と、夫婦のどちらかが思うなら、話し合って関係改善を図りましょう。
お勧めは、物理的に離れることです。子供が独立すれば、夫婦それぞれが個室を持てるでしょう。お互いの目を気にすることなく、自分の好きな世界に没頭すればいいのです。
夫婦の距離をとることでストレスが減り、気持ちに余裕が生まれます。熟年の夫婦の関係崩壊を防ぐには、つかず離れずがいいのです。
現在70代以上の人は、「我慢強さは美徳」という価値観のもとで育っています。「嫌なことも我慢してやりなさい。苦労は報われて人生の肥やしになるから」と刷り込まれています。
しかし、これからシャキッと晩年を送りたいと思うなら、我慢や節制はやめましょう。
前頭葉は、新しい刺激や「快」を得られる体験で活性化します。我慢や節制を強いられるストイックな生活に喜びや快はありません。前頭葉の働きは鈍り、意欲も減退します。
残された10年、20年は、楽しむためにあるのです。70歳になったら我慢せず、好きなこと、やりたいことをやりましょう。そのほうがずっと楽しいし、おのずと若さを保つことができます。
この記事は『壮快』2022年11月号に掲載されています。
画像参照:https://www.makino-g.jp/book/b612666.html