腕振り下ろしのやり方

※ 立って行う。手が物にぶつからないように、周囲に気をつけて広い場所で行う。
※ たまに発症する人は、症状が現れたときに行う。よく症状が現れる人や予防したい人、胃痛があ
る人は、毎食前に1セット(1日3セット)行う。
※ うまくできると、ひじの関節がぐっと開く感覚がある。

❶両腕を自然に下ろしてまっすぐ立つ。右の手のひらを正面に向けて、右手の指先が右肩に着くくらいまでひじを自然に曲げる。ひじは高く上げたり横に広げたりしない。
※ 左手の向きはどちらでもよい。

❷肩の力を抜いて、手のひらが正面を向くように、右の前腕を勢いよく真下へ振り下ろす。ひじの位置をなるべくずらさない。①~②を3回くり返す。

❸右の手の甲を正面に向けて両腕を下ろした状態から、前腕だけひねるようにして右ひじを曲げる。① と同様に指先が右肩に着くくらいまで自然に曲げる。

❹肩の力を抜いて、手の甲が正面を向くように、右の前腕を勢いよく真下へ振り下ろす。ひじの位置をなるべくずらさない。③~④を3回くり返す。

❺左腕で①~④を行う。

◎ひじを反対側の手で押さえながら行ってもよい

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逆流性食道炎がのどの痛みを招くことは多い

当院は耳鼻科専門鍼灸院ですので、のどの痛みに悩んで来院される人が多くいます。痛みの原因が別の場所にあるというのはよくあることです。そこで、施術前には全身の状態や不調について問診します。

「頻繁にのどが痛くなる」「のどがヒリヒリする」と訴える患者さんの話をよく聞くと、胃や横隔膜と関連する不調を抱えている人がいます。このような人は逆流性食道炎の疑いがあります。のどの痛みや上咽頭炎は逆流性食道炎が原因だった、ということは多いものです。

こうした患者さんや、逆流性食道炎の悩みを打ち明けられた患者さんに、私は腕振り下ろしをお伝えしています。その代表的な症例をご紹介しましょう。

Aさん(50代・女性)は、逆流性食道炎の薬を服用していたものの、いっこうによくならずあきらめていました。そこで、毎食前に腕振り下ろしを行うようにアドバイスしました。

その後、のどに何かこみ上がるような感じがするときや、胃がむかついて吐き気がしたときに腕振り下ろしを実践したら、すぐに症状がスーッと引いたという喜びの報告がありました。

Bさん(70代・女性)は、若いころから食後に気持ち悪くなっていたそうです。実際に触診すると、横隔膜がパンパンに張ってかたくなっていました。

そこで毎食前に腕振り下ろしを続けるようにお伝えしたところ、症状が解消するとともに食欲が増え、体重が増加して元気になりました。歩くのもおぼつかないほどでしたが、「一人で通院できる」といえるほど回復したのです。

このほかにも、のどの詰まりや食後の吐き気などの症状があるのに逆流性食道炎の自覚がない人が、腕振り下ろしで症状が改善したといった例が、たくさんあります。

腕振り下ろしは、長い間薬を飲んでいるのに、逆流性食道炎がなかなかよくならない、というかたに最適の体操です。ぜひ毎日の習慣にしてください。

この記事は『壮快』2022年11月号に掲載されています。

画像参照:https://www.makino-g.jp/book/b612666.html