相続税がいくらからかかるか徹底解説!基礎控除や特例を活用しよう!

遺産を相続したとしても、必ず相続税がかかるわけではありません。今回は、相続財産がいくらから相続税がかかるのかを知りたい方に向けて、基礎控除の計算方法や特例制度を分かりやすく解説します。遺産の総額が相続税の「基礎控除額」を下回る場合や特例制度や税額控除を適用することで相続税がかからなくなることもあります。

相続税を計算するまでの流れ

相続税がかかるかどうかを判断するためには、各相続人が取得した遺産の合計金額(課税価格の合計額)がいくらであるかを計算しなければなりません。

課税価格の合計額を計算する時の流れは、以下のとおりです。

1.相続財産を正しく把握する
2.相続財産の価値を評価する
3.法定相続人を確定させる
4.相続人が相続する財産を決める
5.各相続人の課税価格を合計する

1.相続財産を正しく把握する

まずは、相続税の課税対象となる財産を調査しましょう。相続税を計算する際に把握するべき財産の例は、次のとおりです。

仏壇や仏具、墓等の祭祀財産や、通夜・葬儀で支払われる香典、遺族が受け取る遺族年金等は、相続税の課税対象外です。
また、相続開始前3年以内の贈与加算は令和5年度税制によって、2024年以降の相続に関しては7年以内の贈与が対象に変更されました。特別措置や相続時精算課税制度の内容変更もあるので、以下の記事も参考にしてください。

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2.相続税評価額を算出する

相続税を計算する時は、相続財産の価値を評価して「相続税評価額」を算出しなければなりません。相続税評価額の算出方法は、財産の種類ごとに定められています。

例えば、預貯金の場合は、相続が開始された時点の残高が相続税評価額となるため、比較的分かりやすいでしょう。
一方で、土地の相続税評価額は基本的には「路線価」を用いて算出します。路線価とは、国税庁が定める1㎡あたりの土地価格のことです。土地は時価がそのまま相続税評価額になるわけではないため、預貯金と比較して算出方法が分かりにくいです。

死亡保険金や死亡退職金を相続人が受け取った場合、受取額のうち「500万円×法定相続人の数」まで相続税はかかりません。非課税となる金額(非課税限度額)を超える部分が、みなし相続財産として相続税の課税対象になります。

相続税評価額を正確に算出するためには、専門的な知識が必要となるため、相続税専門の税理士や最寄りの税務署等に相談をするとよいでしょう。

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3.法定相続人を確定させる

亡くなった人の配偶者は、常に法定相続人となります。配偶者以外の親族は、民法で定められた順位の上位にいる人が優先して相続します。法定相続人の順位は、以下のとおりです。

・第1順位(直系卑属):子供や代襲相続人である孫等
・第2順位(直系尊属):父母・祖父母等
・第3順位(傍系血族):兄弟姉妹

例えば、被相続人が亡くなった時、配偶者と子供が存命であれば、その二人が相続人となります。被相続人の両親や兄弟姉妹は、相続人になれません。
被相続人に子供がおらず、父母が健在である場合は、第2順位の父母が相続人となります。

ただし、被相続人の子供が相続の開始時点でなくなっており、その子供(被相続人の孫)が存命である場合は、孫が代襲相続人となります。代襲相続人となる孫が存命であれば、被相続人の父母は健在であっても相続人にはなれません。

法定相続人によって、法定相続分や相続税の基礎控除額が変わってきます。そのため、法定相続人の把握を誤ると相続税の計算や申告も誤ってしまう恐れがあります。また、相続人が分からないと、遺産の引き継ぎ方も決められません。相続が発生した時は、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本を速やかに取得して、法定相続人を正確に把握しましょう。

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4.それぞれの相続分を確定させる

被相続人が遺言を残していなかった場合、相続人が全員で話し合いをして遺産の引き継ぎ方を決めます。この話し合いを「遺産分割協議」といいます。
民法では、相続する遺産の割合である「法定相続分」が定められていますが、この通りに遺産を相続する必要はありません。遺産分割協議によって、法定相続分とは異なる割合で相続することが可能です。

遺産の引き継ぎ方に悩む時は、法定相続分を参考にするとよいでしょう。法定相続分の例は、以下のとおりです。

遺産分割協議の内容に相続人全員が合意したあとは、遺産分割協議書を作成します。

5.各相続人の課税価格を合計する

遺産の分け方がまとまったら、相続人ごとに遺産の課税価格を計算します。計算方法は、以下のとおりです。

【参考】国税庁「No.4152 相続税の計算」詳しくはこちら

各相続人の課税価格の算出後は、それらを合計すると課税価格の合計額を求めることができます。算出された課税価格の合計額が、相続税の基礎控除額を下回っていれば、相続税はかかりません。

この相続時に課税対象となる贈与財産に関して、令和5年度税制改正において変更があります。変更が適用されるのは2024年以降の相続からですが、内容を理解して今後の相続に注意してください。

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相続税がいくらかかるか分かる!早見表

では、各相続人の課税価格や法定相続人に応じて相続税はどのように変わるのでしょうか。
以下は、遺産を法定相続分と同じ割合に分割した時の相続税額の目安です。

相続人に配偶者が含まれる場合、配偶者の税額軽減を適用できるため、全体的に相続税額が少なくなります。なお、法定相続分とは異なる割合で遺産を分割した時は、本記事でご紹介している早見表とは異なる相続税額となります。

相続税を計算する時は、国税庁ホームページ内の「相続税のあらまし」に掲載されている資料をご確認ください。税額の計算を依頼したい時は、税理士に相談をするとよいでしょう。

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