相続税がいくらからかかるか徹底解説!基礎控除や特例を活用しよう!

遺産を相続したとしても、必ず相続税がかかるわけではありません。今回は、相続財産がいくらから相続税がかかるのかを知りたい方に向けて、基礎控除の計算方法や特例制度を分かりやすく解説します。遺産の総額が相続税の「基礎控除額」を下回る場合や特例制度や税額控除を適用することで相続税がかからなくなることもあります。

相続税に関わる注意点

遺産を相続した時は、相続税の申告が必要となるケースや申告期限を理解することが大切です。また、適切に申告するためには、基礎控除額の計算に含められる相続人を把握しておかなければなりません。

相続税がかからなくても申告が必要な場合がある

遺産の総額が、基礎控除額を下回っているのであれば相続税はかからず申告も不要です。しかし、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減等を適用したことで相続税額が0円になったのであれば申告が必要となります。

一方で、未成年の税額控除や障害者の税額控除等、相続税の申告が必須でない制度もあります。そのため、相続税を計算する時は、特例制度や税額控除を適用するために申告が必須かどうかをよく確認することが大切です。

なお、遺産の総額が相続税の基礎控除額を下回るか判断が難しい時は、申告の準備をすることをおすすめします。遺産の総額が基礎控除額を下回っていたと思っていても、厳密に計算するとわずかに上回るケースも想定されるためです。

相続税の申告が必要かどうかを判断するためには、相続税の専門知識が不可欠です。判断に迷う場合は、相続税専門の税理士に相談することをおすすめします。

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相続税の申告期限は10ヶ月

相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。相続の開始があった日とは、一般的には被相続人が亡くなったことを知った日です。

例えば、2023年(令和5年)6月24日に被相続人が亡くなった場合、相続税の申告・納税期限は、その翌日の10ヶ月後である2024年(令和6年)4月24日です。相続税の申告期限を迎えるまでに、相続財産や法定相続人を調査して遺産の引き継ぎ方を決め、相続税を計算して申告をしなければなりません。
また、葬儀や法事等の行事を済ませながら、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書等の必要書類を準備する必要もあります。

期限を過ぎてから申告をすると「延滞税」がかかります。加えて、申告が必要であるにもかかわらず申告をしなかった時は「無申告加算税」、税額を本来よりも少なく申告した時は「過少申告加算税」といったペナルティが課せられてしまうかもしれません。
そのため、被相続人が亡くなって相続が発生した時は、速やかに相続の準備を始めることが大切です。

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相続放棄した人も基礎控除の法定相続人に含む

相続放棄とは、被相続人の遺産に対する相続権の一切を放棄することです。相続放棄を選択した人は、預貯金や不動産等のプラスの財産だけでなく、借入金や未払金等のマイナスの財産も一切相続しません。相続税の基礎控除額を計算する時は、相続放棄をした人も含めます。

例えば、相続人が配偶者、長男、長女の三人であったとしましょう。長女は相続放棄を選択しました。被相続人は遺言書を残していなかったため、遺産は配偶者と長男の二人が相続することになります。
一方で、相続税の基礎控除額には相続放棄をした人も含むため「3,000万円+(600万円×三人)=4,800万円」となります。

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代襲相続人も基礎控除の法定相続人に含む

相続開始の時点で相続人となる子供や兄弟姉妹等が亡くなっており、孫や甥、姪が代襲相続をした場合、基礎控除額を計算する時は代襲相続人も含めます。

例えば、本来の相続人が配偶者と長男の二人であるとしましょう。相続が開始された時点で長男がすでに亡くなっていたため、長男の二人の子供(被相続人の孫)が代襲相続をすることになりました。

この場合、相続人は配偶者と代襲相続人である二人の孫の合計三人です。そのため、相続税の基礎控除額は「3,000万円+(600万円×三人)=4,800万円」となります。

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養子の法定相続人には人数制限がある

相続税の基礎控除額を計算する時の法定相続人には、養子も含めることができます。ただし、基礎控除額を計算する時の用紙の人数には以下の制限があります。

・被相続人に実子がいる場合:一人
・被相続人に実子がいない場合:二人

例えば、 遺産を一人の実子と三人の養子が相続するとしましょう。この場合、被相続人に実子がいるため、基礎控除額を計算する際に含められる養子は一人となります。よって、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×二人)=4,200万円」です。

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まとめ

相続した遺産が、基礎控除額である「3,000万円+(600万円×法定相続人)」を下回っている場合、相続税はかからず申告も不要です。また、基礎控除額を上回っていたとしても、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減、未成年者控除等の制度を適用することで、相続税が0円となるケースもあります。

とはいえ、税金に関する専門知識がなければ、相続税がかかるかかからないかを正確に判断するのは困難でしょう。相続が発生した時は、速やかに相続税申告の準備を始めるとともに税理士や税務署等相続税の専門家に相談することをおすすめします。

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品木彰

フリーライター・2級ファイナンシャル・プランニング技能士。
大手生命保険会社にて7年半勤務し個人営業と法人営業の両方を経験のちに、人材会社にて転職エージェントとしての勤務を経て、2019年1月に独立。保険や不動産、資産形成・資産運用、税金など幅広いジャンルの記事を執筆・監修している。