カフェ文化が発展する世界有数の都市・シドニー(オーストラリア)。実はイタリア系の移民が多かったことから、エスプレッソ系のカフェが栄えていたり、世界中から珈琲を学びたい若者が集まったりしているのだとか。そんなシドニーのカフェ文化を受け継ぐお店のひとつが、日本橋浜町「Single O Hamacho」。2021年に、シドニーの“伝説”のコーヒーロースターと呼ばれる「Single O」の日本第一号店としてオープンしました。

サーバーから珈琲が注がれる斬新なシステムに、本場シドニーのスイーツ、アバンギャルドな壁面アート。一見、開放的でユニークなカフェですが、珈琲を通して新たな取り組みにどんどんチャレンジする情熱的なブランド。代表の山本さんにインタビューし、お店をご紹介しながら、その物語を紐解きます。

手仕事と緑が根付くクラフトな町「浜町」に上陸。シドニーの名店「SingleO」初の日本旗艦店

「Single O Hamacho」があるのは、半蔵門線・水天宮前駅より徒歩5分のところ。外観は、ガラス張りのカジュアルで開放的な佇まい。扉を空けると、香ばしい珈琲の香りと、焼き菓子やパンの小麦とバターの香りがふわり。友達同士でおしゃべりを楽しんでいる人もいれば、珈琲片手に一人で黙々と作業をする人もいて、ゆったりと時間が流れています。

シドニーで“伝説“と言われる名店を日本に出店させた立役者は、シドニーの「Single O」本店で7年間働いていた山本さん。「シドニーに滞在していたころ、たまたま現地でアルバイトをはじめた先が『Single O』。もともと珈琲にほぼ興味がなかったのですが、まかないで飲んだエスプレッソの味が忘れられず、珈琲の世界へ入りました」。

店内はカウンターが中心で、テーブル席が少し。カウンター付近には、オリジナルパッケージに包まれた珈琲豆が所せましと並んでいます。バリスタとの距離感は近く、常連さんとは軽い挨拶や世間話をするような、まさに日常に根付いているお店。

お店には、シドニー本店の魅力を踏襲している点がいくつもあります。例えば、お店の名物「Freepour Coffee On Tap」のシステム。


Freepour Coffee On Tap/本日頂いたのはアイスの「コロンビア」。
アプリコットとベリーのような、南国系のフルーティーな香りに癒されました

珈琲を注文したらカップが貰えて、サーバーの下に置けば勝手に珈琲が注がれるというユニークなセルフサーブシステム。シングルオリジンの3種を含め、6種類の珈琲から選べます。「スペシャルティコーヒーといえば、ハンドドリップがメインのお店が多いですが、“Single O”は『より多くの人に珈琲を飲んでほしい』という想いで、より素早く提供できる“Tap Bar”を取り入れました」。

また、思わず目を奪われるのは、天井に設置された古紙のウォールアート。シドニーにあった「Single O」2号店(閉店済)から受け継いだものなのだそう。内装デザインは本店と同じデザイナーに依頼したそうで、「Single O」のエッセンスをなるべく取り入れたといいます。

店内奥の壁一面に広がるのは、現代アーティスト「Washio Tomoyuki」氏直筆のアート。オーストラリアのウルルにスカイツリー、両国、浜町と、シドニーと日本をつなぐ様々なシンボルを力強いタッチで表現。こういったアーティストへのリスペクトも所々に散りばめられています。

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絶品珈琲は、本場シドニーの定番スイーツ「バナナブレッド」と共に


左からバナナブレッド with エスプレッソバター、キャロットケーキ、アイスコーヒー

スイーツメニューは、シドニーで定番のものを日本人好みにアレンジしているのだそう。シドニーの人気カフェ「Cafe Creasion」の日本人シェフ・佐々木優さんが監修しており、いずれも海外気分を味わえながらも絶品。写真のバナナブレッドやキャロットケーキの他に、マフィンやクッキーもあります。

看板メニューは「バナナブレッド with エスプレッソバター」。たっぷりとバナナを使ったブレッド生地は、甘くてどっしりとした食べ応え。じゅわっと溶けたほろ苦いエスプレッソバターを絡めて食べると最高に美味しく、ぺろりと食べてしまいます。

Freepour Coffee On Tapだけでなく、ハンドドリップの珈琲や、シドニーの定番であるエスプレッソもあります。いずれも、「Single O」シドニー本店のバイヤーがセレクトした豆を、両国の焙煎所「Single O Japan」で焙煎して珈琲を淹れています。

「“日常的においしく飲める珈琲”を意識しているので、豆は、甘みがピークになる状態で焙煎したものを使用しています。全体的な味のバランスが整うので。

そして味だけじゃなく『どこで誰がつくったものか』にこだわり、お客さんに伝わる形で提供しています。どの産地で、どんな人が、そしてその農園がどんな取り組みをしているのか。継続的に、日常的に飲む珈琲ならば、そういったクリーンな豆を使うべきだと思っています」