August.11 – August.17, 2023

Saturday Morning

Title.
Prélude en tapisserie
Artist.
Erik Satie, Alessandro Simonetto とにかく動けない。そんな土曜日の朝もあるはずです。そういう時はゆっくりなテンポの音楽を。フランス語の指示だったら ”Lent(ラン)”でしょうか。「壁紙としての前奏曲」と秋山邦晴さんが訳された、エリック・サティが1906年に作曲した楽曲。音と音の隙間を楽しむような、ひとつひとつの音を踏んでいくような演奏。情緒不安定に感じられる音の危うさは、現実的なものとして、自分たちの意識に入り込んでくる魔法があるように感じます。体が動かない、ゆっくりとした土曜日の朝。不安定さも受け入れながら、無理をせずに、この曲を聴いてみてはいかがでしょうか。
アルバム『E(Sote)erik Satie Favorite Music Alessandro Simonetto, Piano』収録。

Sunday Night

Title.
5 Anniversaries: No. 5, For Susanna Kyle
Artist.
Leonard Bernstein, Warren Lee アメリカの指揮者、作曲家のレオナード・バーンスタインのピアノ短編作品から、1949年作曲。日曜日の夜、深くなればなるほど、辺りは静かになります。静寂の中、ひっそりとこのピアノ楽曲を聴いています。ピアノの音が減衰していって聴こえないくらいの小さい音は、周囲の環境音と混じり合って消えていきます。静けさとともにバーンスタインの光と闇を兼ね備えた楽曲が、夜に消えていく音楽です。
アルバム『Touches & Traces』収録。

『&Premium』特別編集
『&Music/土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ 』 好評発売中。

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 小西康陽、青葉市子、七尾旅人、長田佳子、テイ・トウワ、中嶋朋子……、 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付きです。 詳しくはこちら

音楽家 蓮沼執太

1983年、東京都生まれ。蓮沼執太フィルを組織して、国内外での音楽公演をはじめ、多数の音楽制作を行う。また「作曲」という手法を応用し物質的な表現を用いて、彫刻、映像、インスタレーション、パフォーマンスなどを制作する。主な個展に「Compositions」(Pioneer Works 、ニューヨーク/ 2018)、「~ ing」(資生堂ギャラリー、東京 / 2018)などがある。第69回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。 10月6日にニューアルバム『unpeople』をリリース予定。また、9月1日からPOST(恵比寿)にて同アルバムをテーマにした展覧会を開催予定。