予約困難なレストラン、知る人ぞ知る名店、大人のバーetc. 今までメディアでも掘り下げてこなかった、大人のための秘密のスイーツをお届けする連載、鈴木セイラ『金曜日、秘密のデザート』。前回の記事では、今年の3月にオープンした横浜の会員制&住所非公開のスイーツバー「Constellation.」(横浜)をご紹介しました。

お店のオーナーパティシエは、Twitterやブログなど、SNSで人気の“こっきー”こと小北シェフ(@koki_patissier)。フランスで修業経験もあり、そのスイーツ作りの実力はもちろん、会社を設立し、パティシエの働き方や飲食のビジネスモデルにも切り込んで活動している、スイーツ界の革命児とも呼ぶべきひとり。新たな挑戦をし続ける彼の姿、じっくりとお届けします。

魔法の鏡で、非日常空間へ誘われて。横浜の会員制スイーツバー「Constellation.」

「Constellation.」があるのは、横浜・日本大通り、会員だけが知っている雑居ビルの2階。階段を上がると、サイケデリックな光を放つ魔法の鏡が。鏡の横にある隠し扉を開き、バー空間へとつながる暗い廊下を歩きます。まるで秘密基地に入りこんでしまったような、ワクワク感と少しの不安。

バーの扉を開くと、そこはまるで幻想世界。鮮やかなライト、多種多様なお酒のボトル、そしてキラキラ光る星座が瞬くような壁。選ばれた者、知っている者だけが辿り着ける、スペシャルなお店にふさわしい演出です。

お店はカウンター席がメインで、デートや女子会にぴったりのムーディな個室も。カウンターでは、バーテンダーやパティシエたちが創り出すメニューを臨場感たっぷりに見ることができます。

「Constellation.」で味わえる、季節のパフェとスイーツコースについては、ぜひ前回の連載記事へ。オーナーパティシエである、小北シェフに早速お話を聞いていきます。

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「『美味しい』って何?」を考え続けて、辿り着いた答え

「Constellation.」は、「特別感」や「ワクワク感」がキーワード。このコンセプトには、小北シェフのこだわりがこめられているのだそう。

「100人いて、100人ともが『美味しい!』と言ってくれる食って沢山あると思って。スイーツ自体を『美味しく』作ることは当たり前で、そしてそれだけではお客さんはリピートしてくれない。当たり前かもしれないけど、『美味しい』だけじゃだめなんです。美味しいに付加価値をどれだけつけられるか。」

「だから、空間や動線、演出を含めて“美味しい”を立体的に設計しているんです。五感で“美味しい”を感じられるように。例えば、お客さんにサーブしてから仕上げる臨場感ある盛り付け。パフェ作りの最後に、液体窒素を使ったトッピングを載せたり、お皿を空けると香りや煙が広がるような演出だったり。」

「もちろんそういった演出だけじゃなく、素材選びもブランドからこだわりますし、スイーツのビジュアルそのものも、今までにないような独自性が見えるようなスタイリングに仕上げています」

そして、特にこだわったのはお店に来る前の「気持ちづくり」、そしてお店の「動線」なのだそう。

「ふらっと立ち寄るのではなく、『あの店に食べに行こう』と思って来てもらうことが大事だと思うんです。食べることへの感情を揃えてもらうというか。だから会員制で住所非公開というスペシャル感を大事にしました」

「動線設計でこだわったのは、ディズニーランドの列に並んでいるみたいなワクワク感。怪しい鏡と、隠し扉、長い廊下。『この先が楽しみだな』という“期待感”も、『美味しい』の要素のひとつだと思います」。