世帯年収830万円の30代夫婦「教育資金が貯まりません」→世帯年収「910万円未満」であれば使える“国の無償化制度”【FPが解説】

子育て家庭を救う、国や自治体の「教育費補助制度」

家計破綻を防ぐためには、早期から教育資金の確保をするために「収入を増やす」もしくは「支出を減らす」必要があります。

とはいえ、昨今の物価上昇の影響で、家計を削ろうにもなかなか難しいのが現状です。また、収入を増やそうと思っても、子どもがまだ小さいA家は、妻がパートを増やしたり、あるいは正社員を目指したりというのもしばらくは難しそうです。

教育資金のめども立たないうちは、さらに自分たちの老後資金の準備にまで気にかける余裕はありません。

実際、A夫妻と同じような状況に陥りそうな家庭も少なくないのではないでしょうか。

そこでぜひ知ってほしいのが、国や自治体の「教育費補助制度」です。ここでは主に、「幼稚園・保育園利用時の補助制度」と「高校進学時の補助制度」の2つを見ていきます※。

※ 各制度の詳細については、筆者が以前執筆した記事をご参照ください(https://gentosha-go.com/articles/-/48630)。

幼児教育・保育の無償化

いわゆる「幼保無償化」の対象となるのは、3~5歳児クラスの幼稚園、保育所、認定こども園等に通う子どもたち。これらの施設の「利用料」が無料となります。とはいえ、すべてが無料というわけではなく、たとえば私立幼稚園のうち私学助成園で利用料が月額2万5,700円を超える場合、超えた部分は保護者の自己負担になります。

「高等学校等就学支援金」と「高校生等奨学給付金」


「高等学校等就学支援金」と「高校生等奨学給付金」 出所:高校生等への修学支援リーフレット

「高等学校等就学支援金」はいわゆる“高校無償化”の制度で、年収910万円以下の世帯が対象です。申請は学校へ行い、授業料は学校に直接払われます(個人が受け取ることはできません)。

「高校生等奨学給付金」は、授業料以外の教科書や教材費などの支援をしてくれる制度です。ただし、収入要件が厳しくなっているため注意が必要です。

まとめ

日本には上記のような教育資金の支援をはじめ、数多くの補助金制度が存在します。自身で申請が必要なものも少なくありませんが、知っているのと知らないのとでは、資金準備に大きな差が出てきます。

しかし、これらの補助金制度は、教育資金のすべてを援助してくれるわけではありません。したがって、ご家庭のライフプランに合わせ、早めに資金計画を立てることが重要になってきます。効率的にお金を貯めるためには、ライフプランを明確にし支出を抑えることに加えて資産運用などの知識も今後は必須となるでしょう。

「もっと早く知っていれば……」「もっと早くから手を打っておけば……」と後悔することのないよう、資金計画や情報収集は子どもが小さいうちからはじめることをおすすめします。