善管注意義務違反を防ぐためのポイント

善管注意義務の内容を理解せずに賃貸物件の契約をしてしまうと、知らないうちに契約違反となる行為を犯してしまうかもしれません。
違反によって損害賠償を請求されないためにも、事前に違反を防ぐためのポイントを理解しておきましょう。

重要事項説明書を確認する

重要事項説明書とは、宅地建物取引士が借主に対して、物件や条件といった一定の重要事項について説明が書かれた書面のことです。
不動産の取引条件は難しい内容も多いため、契約を結ぶ前に宅地建物取引士によって説明が実施されます。
その際に使用される書面が重要事項説明書です。
事前の説明は契約後のトラブルを避けることが目的であり、説明を受けて納得した上で契約を交わす必要があります。
重要事項説明書に書かれている主な内容は以下のとおりです。

・備え付け設備について
・更新や解約に関する内容
・敷金や家賃といった費用に関する内容
・物件における禁止事項
・インフラ整備の状況について
・管理の委託先について
・特約事項
・ハザードマップ

それぞれの内容をしっかりと理解してからの契約が重要です。
善管注意義務違反を防ぐためには、原状回復費用といった敷金に関する内容は特に注意してください。
責任の範囲は記載されているので、目を通し違反しないよう気を付けましょう。
入居者側の不利になるような内容が書かれているケースもあります。
国交省が定めている原状回復を巡るトラブルとガイドラインも確認し、不利な内容が記載されている場合は担当者にしっかりと確認してください。

入居する前に部屋の状態を確認する

入居前に部屋の状態を確認する作業も忘れてはいけません。
目視で確認するだけでは不利になるケースもあるので、以下のポイントを参考にチェックしていきましょう。

不動産会社と一緒に確認するのがおすすめ

チェックをする際には、不動産会社の担当者と一緒に確認をしましょう。
万が一、部屋の設備に異常があった際には、すぐに担当者に知らせることができます。
傷や汚れなどがあっても担当者と一緒にチェックしているため、退去の際に指摘されたとしても担当者には伝えてあるので、違反を防ぐことにつながります。

傷や汚れなどを撮影しておく

傷や汚れがあれば、写真を撮影して画像として保管しておきましょう。
データで残しておくと撮影日が記録されるので、万が一違反を指摘された場合も、違反をしていない証拠となるのでおすすめです。
自分で汚したものなのか覚えておくためにも忘れずに撮影しておきましょう。

日頃の掃除・メンテナンスも重要!

部屋を借りると自分の所有物だと感じてしまい、使い方が荒くなってしまったり、汚れても放置をしてしまったりと使い方が雑になってしまう方も多いはずです。
しかし、賃貸物件は借り物です。
他人のものを借りている状態なので、大切に扱うことが何よりも大切です。
普段の生活では定期的に掃除を行い、汚れや傷を見つけた際にはすぐに大家さんや管理会社に相談しましょう。
放置をしてしまえば、汚れが広がり善管注意義務に違反したとみなされてしまいます。

・エアコンの水漏れが発生して壁や床が汚れている
・タバコのヤニが壁に染みついている
・料理中、誤って壁を焦がしてしまった
・トイレを詰まらせてしまった
・タバコの灰を落として床を焦がしてしまった

など、日常生活を過ごしている間に様々な汚れや不具合が発生します。
自分では対処できない場合は、すぐに相談して対処法を聞いておきましょう。

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善管注意義務違反にならないために!場所別掃除・メンテナンス方法

善管注意義務違反にならないためにも、丁寧な暮らしが大切です。
しかし、いくら丁寧に過ごしていたとしても汚れは発生してしまいます。
汚れを広げない、傷を増やさないためにも、場所別のメンテナンス方法を解説していきます。
綺麗な状態で過ごすためにも参考にしてください。

キッチン

キッチンは調理をする場所なので汚れやすい箇所です。
普段の掃除が重要な箇所なので、以下の方法を参考にメンテナンスをしていきましょう。

シンク

調理をする時にシンクは毎回使用する場所なので、使用した時には毎回掃除するようにしてください。
掃除方法としては以下のとおりです。

① スポンジに中性洗剤をつけてシンクを洗う
② 水で流す
③ 布巾で水滴を拭き取る

水滴を拭き取らないと水垢になってしまいます。
付着を放置していると簡単なお手入れでは取り除けなくなり、研磨剤入りの洗剤を使用しないと落とせなくなります。
日頃のお手入れを欠かさなければ防げる汚れなので、綺麗な状態を維持するためにも掃除を欠かさないでください。

排水口

排水口は汚れがひどくなると詰まりを発生させてしまいます。
ゴミが流れないよう使用する際には水切りネットといったアイテムを使用し、こまめに掃除をすることが大切です。
排水プレートや網かごは中性洗剤を使用して洗うと、汚れを落とせます。
また、週に1回程度は排水口の内側の汚れや封水筒といった部品の掃除も行いましょう。
排水口のぬめりは、クリームクレンザーと歯ブラシを使って掃除をすると落としやすいです。
ニオイ予防にもなるので定期的にメンテナンスを実施すると快適な状態を維持できます。

水栓金具

水栓金具には水垢汚れが付きやすい箇所です。
1日の終わりにぬるま湯に浸した布をよく絞り、汚れを取り除いてから乾いた布巾で乾拭きをすると水垢発生を防げます。
細かい部分やジョイント部は、週に1回程度歯ブラシを使って磨きましょう。
掃除がしにくい裏側部分は、適度な大きさに切ったナイロンストッキングを引っかけて左右に引っ張ると簡単に汚れを取り除けます。

シャワー水栓の水の出が悪い場合、吐水口キャップの中にゴミが詰まっている可能性があります。

① 吐水口キャップを回して外す
② キャップに詰まったゴミや汚れを取り除く
③ 吐水口キャップを取り付ける

上記の作業だけで詰まりが解消するケースもあります。
パッキンといった細かい部品があるので、無くさないよう注意してメンテナンスをしてください。

換気扇

換気扇には油汚れが付着しているので掃除に手間がかかります。
しかし、面倒だからと放置をしていると多額の費用を負担させられる可能性があるので注意してください。
汚れを増やさないためにも、掃除は月に1回程度実施するようにしましょう。
掃除の方法は以下のとおりです。

① フィルターやシロッコファンなど、取り外せるものはすべて外す
② ぬるま湯をかけて汚れを浮かす
③ 中性洗剤を含ませたスポンジで擦り洗いをする

汚れがひどい場合は、重曹を使うと便利です。
ぬるま湯100mlに対して小さじ1程度の重曹を加え、1~2時間程度漬け置きします。
漬け置きが終了した際には、スポンジを使用して水洗いをして、細かい部分は歯ブラシを使用して擦っていきましょう。
水で流した後には乾拭きをして、しばらく放置をして完全に乾燥させてから取り付けてください。
また、フード本体の掃除も欠かせません。

① ぬるま湯につけて軽く絞った状態の布で汚れを浮かせる
② 薄めた中性洗剤をスポンジに含ませて汚れを取り除く
③ 水拭き、乾拭きをして終了

キッチン掃除のポイントとは

油汚れは頑固なので、汚れが溜まっている場合は掃除に手間がかかります。
頑固な汚れを掃除する場合は、時間をかけてゆっくりとお手入れをしていきましょう。
ぬるま湯や漬け置きで汚れを浮かし、丁寧に掃除をしてください。
無理に汚れを落とそうと力を加えると傷が付く可能性があるので注意しましょう。
また、掃除用品は柔らかいアイテムの使用がおすすめです。
柔らかい布やスポンジを使用し、細かい部分は歯ブラシを使用すると汚れが落としやすいです。
たわしやブラシといったアイテムは傷が付きやすいので使用しないでください。

トイレ

毎日使用するトイレは汚れやすい箇所です。
掃除をしないと、ニオイの発生にもつながるので定期的な掃除が大切です。
毎日の掃除としては、汚れやすい便器の掃除をしましょう。

① 便座部分をシートや洗剤をつけたペーパーを使用して拭き掃除する
② 便器内部をトイレ用ブラシで掃除をしていく
③ その他、気になる汚れがあれば掃除をする

トイレは週に1回は、入念な掃除を心がけましょう。

① タンク部分の汚れを拭き取る
② 便座、便器の内部を掃除する
③ 便器の下や側面をシートで拭く
④ 壁の拭き掃除をする
⑤ 床の拭き掃除をする

タンクや壁、床の掃除には、トイレ用の除菌シートを使用すると便利です。

洗面所

歯磨きや洗顔で使用する洗面所も汚れやすいです。
お手入れ方法を知り、実施していきましょう。

洗面ボウル

歯磨き粉や水で汚れが蓄積しやすいので、メンテナンスは欠かせません。
用意するものは、メラミンフォームのスポンジと雑巾のみです。

① 水で湿らせたメラミンフォームのスポンジで洗面ボウルを擦っていく
② ボウルに水をかけて汚れを洗い流す
③ 雑巾で乾拭きをして水気を拭き取る

日々のお手入れは以上の方法で実施してください。
汚れがひどい場合や念入りに掃除をしたい際には以下の方法でお手入れをしていきましょう。

① 濡らしたメラミンフォームスポンジで洗面ボウルを擦っていく
② 汚れが落ちない時には、浴室用の洗剤をスポンジにつけて擦り洗いをする
③ 水を流して洗剤を洗い流し、雑巾で乾拭きをして水気を拭き取る

水栓

蛇口は濡れやすい箇所であり、水垢が付着しやすいのでこまめな掃除が肝心です。

① 濡らした布巾で蛇口の汚れを取り除いていく
② 雑巾で乾拭きをする

日々のお手入れは上記の方法だけで綺麗な状態を維持できます。
汚れがひどい場合には、メラミンフォームスポンジやクリームクレンザーを使用して擦り洗いをしていきましょう。
ただし、素材によっては傷が付く可能性があるので、必ずテストを実施してから掃除をしてください。

浴室

水垢やカビなどで悩みやすい場所が浴室です。
日々のお手入れ方法や汚れが落ちない時の対処法を解説します。

日々のお手入れ方法

お風呂を使った後には毎日掃除を行い、カビの発生や汚れの付着を防ぎましょう。

① 換気をする
② 浴室全体を水で流す
③ 浴槽の掃除をする
④ 壁や床の掃除をする
⑤ 排水口の掃除をする

汚れが落ちない時

タイル目地のカビで悩んでいる方も多いはずです。
強力な洗剤を使用すれば汚れは落とせますが、タイルを傷める原因にもなるので注意してください。
汚れが落ちない時には塩素系のカビ取り剤をカビの生えている部分に歯ブラシを使用して塗り伸ばし、5~10分程度放置します。
その後、シャワーで洗い流し、汚れが取れにくい場合はブラシで擦り洗いしましょう。
汚れが気になった際にすぐに掃除をすれば、お手入れもしやすいのでおすすめです。
また、桶や椅子も汚れが付着しやすいです。
石鹸カスや皮脂が付着し、時間が経過すればするほど汚れも落ちなくなってしまいます。
お風呂用の洗剤を使用しても汚れが取り除けない場合は、洗剤を吹きかけた後にラップでパックをしてみましょう。
時間をおくと汚れが落ちやすくなります。

エアコン

暑い時期や寒い時期には毎日のように使用するエアコンも汚れが溜まりやすいです。
汚れを放置してしまうと、水漏れやカビの拡散につながるので、定期的な掃除が欠かせません。
フィルターは月に一度掃除を行いましょう。
ホコリは掃除機で吸い取り、水洗いをすると綺麗になります。
ただし、エアコンの種類によっては掃除方法に決まりがあるので、必ず取扱説明書を確認してからお手入れを実施してください。

ベランダ・バルコニー

ベランダやバルコニーがある場合は、定期的に掃除をしないと排水口に汚れが詰まり、雨水が流れなくなってしまいます。
放置をしてしまえば雨漏りの原因にもなり得るので注意してください。
掃除機を使用すれば、ある程度の汚れを吸い取れます。
しかし、鳥の糞を吸ってしまうとサルモネラ菌やクラミジアといった菌が部屋に広がるので危険です。
鳥の糞があれば、最初に取り除いてから掃除機を使いましょう。
また、新聞紙を使用する方法もおすすめです。

① スプレーを使用して新聞紙を濡らす
② 濡らした新聞紙をちぎって丸め、ベランダにばら撒く
③ 新聞紙を箒で転がしながら掃き、ちりとりで取る

濡れた新聞紙がホコリやゴミを吸着するので綺麗になります。
排水口は、月に1回程度掃除をしましょう。
内部を掃除するのは難しいので、蓋の部分のみゴミを取り除いて雑巾で拭き掃除をしてください。
ブラシを使って汚れを取り除いたら水を流して終了です。

善管注意義務について解説してきました。
契約解除や大きな出費につながるので、内容を理解していないと後悔を生む可能性があります。
違反を避けるためにも、入居前には重要事項説明書をよく確認し、物件についても傷や汚れがあった際には写真撮影を忘れないようにしましょう。
そして、入居した後も掃除を定期的に行い、善管注意義務違反にならないよう注意してください。