小さな空間で特別な体験。堀内シェフの手掛けるボーダレスなデザートコース

お店は物販だけではなく、その隣には扉があり、開くとそこにはカウンターが。予約制で、カウンターは全4席とこじんまりとした空間に。

「パティシエが作るフルコース」というコンセプトのもと、品数は7品~8品程度。フレンチと一緒でアミューズから始まり、フィンガーフードそしてメインときて、最後には更なるミニデザートが。

デザート主体ではあるもののパティシエとしてできる、技術の結晶のようなコースとなっている。“このあとラーメン屋へ行こう”ではなく、しっかりとフルコースを食べたかのような、満足感あるボリューム感。それではコースの一部を紹介していく。

一番最初に紹介するのは「アミューズ」。これまでフィナンシェを作ると常に好評で、どうしてもメニューに組み込みたかったと堀内シェフ。いわゆるシェフのスペシャリテ的な存在である。フィナンシェはクリエイションも、突き抜けている。ただのフィナンシェではなく「牛脂のフィナンシェ」だ。

バターの香りが特徴のフィナンシェ。その油脂分を牛脂に置き換え、香りのインパクトを引き出している。

そして牛が描かれたソースは、高山ニンニクのピューレで作られており、フィナンシェと合わせて食べるとお菓子ではあるものの、まるで前菜を食べたかのような”新しい食体験”の扉が開く。

続いてはこのコース料理で「メイン」に当たる一皿。まるでジビエのパイ包み焼きのような仕立ての中身は、白アスパラガスとリンゴ。ナイフとフォークで切って食べると、スイーツのような甘みだけではなく香ばしさと野菜のにくにくしさもあり、デザートであり料理と成立している満足感。

レストラン出身だからこそ、堀内シェフのクリエイションは、食材を「これは料理用、これはデザート用」と決めつけるのではなく、フラットな目線で使うのが大きな特徴で、その表現がわかりやすく表れた一皿がこちら。

こちらは旬の日向夏と独特のほろ苦さとシャキシャキとした歯ざわりが持ち味のうど。驚きの組み合わせである。そして香港でもよく合わせられるという、ライムに塩をもみこみ漬けて、3か月寝かせた塩ライムのジェラートを。

組み合わせの妙こそ、堀内シェフのアイデンティティであり、この贅沢なコースの醍醐味である。続いてのフランス伝統のデザート「ヴァシュラン」。クリエイティブな見た目は、伝統的なヴァシュランを、違う世界に表現。もともとアートが好きという堀内シェフ。アートから幾何学模様であったり、色合いなどをインプットし、一つのお皿にアウトプットしている。

野菜や漢方など、様々な合わせ方で甘みを抑えているため、血糖値も上がりにくく、最後まで美味しく食べられる。そんな計算をしつくされたコースに、ペアリングで合わせるドリンクも秀逸だ。ぜひ一度はフルコースで食べて欲しい、新体験のコースである。

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麻布台ヒルズの新手土産の定番に

最後に、手土産としておすすめの「クッキー缶」そして「ババ」を紹介。クッキー缶は数が少なく、昼前には完売してしまう人気ぶり。

中身は全7種類。全粒粉の生地に、甘酸っぱいフリュイルージュジャムのオーストリア菓子「サブレリンツァ」やフランス菓子の定番である「ガレットブルトンヌ」、イタリアのメレンゲ菓子でコリアンダーとアーモンドが香る「ブルッティマブオーニ」。

そして白いラングドシャは酒粕のホワイトチョコ、ブラックは八丁味噌をあわせレストランらしい組み合わせに。かりかりっとしたピスタチオに糖衣がけした「クラックランピスターシュ」に最後はオレンジコンフィの入ったショコラフロランタン。

最後に「ババ」はブリオッシュ生地をお酒に漬けたもので、4種類のラインナップ。定番の「ラム」は樽で熟成させたスモーキーな香りにバニラの余韻が広がり、「WHITE」は白ワインとレモングラスの清涼感のある構成。「RED」は赤ワインにカシスリキュールで合わせホットワインのような味わいに。特筆すべきは「味醂(みりん)」。300年以上の歴史を持つ「小笠原味淋醸造」の味醂と、3年以上熟成させた陳皮を贅沢に使用したシロップで作られている。

手土産にもぴったりな箱で、一味変わった手の込んだお菓子たちはきっと喜ばれること間違いない。

About Shop
LANIGIRO (ラニギロ)
東京都港区麻布台1丁目2−4 ガーデンプラザC B2E B1-9
営業時間:11:00~18:00
定休日:なし

クリーム太朗

ウフ。編集長

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編集責任者。ショートケーキ研究家として、日本全国のケーキを食べ比べる。自身でも、ケーキやチョコレートの製造・販売を目指すべく、知識だけではなく実技も鍛錬中