「ミナ ペルホネン」のデザイナーがテキスタイルに込めた思いを一冊の本に 『Textile Diary #1』

「ミナ ペルホネン」のものづくりの核となるテキスタイル。そのテキスタイルをデザインする際に込められた思いなどをつづり、日記のようにまとめた本「Textile Diary #1」が出版された。

この本のベースとなったのは、ミナ ペルホネンのホームページ上にある「Textile Diary」だ。スタートは、2020年。新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言で外出がままならなくなり、店を閉めるのを余儀なくされた時、ミナ ペルホネンの創設者であるデザイナーの皆川明さんが「お客さまに何か楽しいことをお届けできないか」と発案した。

店に来られない人たちとテキスタイルを通してつながっていたい。そんな思いから、日記のように皆川さんと株式会社ミナ代表でデザイナーの田中景子さんが毎日テキスタイルをひとつずつ選び、ホームページとインスタグラムで誕生の経緯やテキスタイルへの思い、エピソードなどを紹介している。

この本では80点のテキスタイル写真のほか、ダンサーで俳優のアオイヤマダさんや元スウェーデン国立美術館長のスサンナ・ペッテルソンさん、俳優の青柳いづみさんら、「ミナ ペルホネン」とつながりの深い人たちが服を着て登場している。

「ミナ ペルホネン」では、ブランドの設立からずっとテキスタイルに名前がついている。「テキスタイルに込めた想いを子どもに名前をつけるように名付けて、その一言で見る人や使う人にストーリーや表情が伝わるようにと考えました」と皆川さんは同書の巻頭で記している。

読み進めるうちに、テキスタイルとの距離だけでなく、作り手との距離がぐっと近づくような気がしてくる。同時に、いとおしさも増してくる一冊だ。

text: 宮智 泉(マリ・クレールデジタル編集長)
photo: Tomoko Hagimoto