【最新版】在職老齢年金制度とは?働きながら年金をもらう時の注意点

在職老齢年金制度は、会社員として働きながら年金を受け取ることができる制度ですが、利用することで年金額が減ったり、支給停止になる可能性があります。この記事では、在職老齢年金制度の具体的な年金額を計算する方法や改正法の内容、年金が減額されないためのポイントをご紹介します。

在職老齢年金のポイント

年金をもらいながら働くことができる在職老齢年金ですが、利用する場合には注意が必要です。在職老齢年金のポイントを理解して、損をしない年金制度の活用をしましょう。

在職老齢年金として受け取れる年金額が減額する人の条件

上述したように、年金の月額と給与(賞与を含む)の合計額が48万円を超える場合は、超えた金額の2分の1が支給停止となり、支給停止額を差し引いた年金額を受給することになります。

また、在職老齢年金が全額支給停止になった場合は、加給年金も支給停止になってしまいます。
加給年金とは、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人に、65歳到達時点で生計を維持している配偶者や子がいる場合に加算される家族手当のような年金です。加給年金を受給している方は、在職老齢年金の全額支給停止に注意が必要です。

【参考】日本年金機構「加給年金額と振替加算」詳しくはこちら

【あわせて読みたい】加給年金とは?受給条件・金額・手続きを解説!年の差婚夫婦は必見

60代前半の特別支給の老齢厚生年金とは異なる制度

在職老齢年金と特別支給の老齢厚生年金は、異なる制度です。

特別支給の老齢厚生年金とは、一定の要件を満たしている場合に、60歳から65歳になるまでの間受け取ることができる老齢厚生年金です。
1961年4月1日以前に生まれた男性、または1966年4月1日以前に生まれた女性が対象となります。

特別支給の老齢厚生年金をもらいながら働いている人も、基本月額と総報酬月額相当額が48万円を超える場合は、在職老齢年金の支給調整が行われます。

【参考】日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」詳しくはこちら

【あわせて読みたい】特別支給の老齢厚生年金とは?受給資格や手続き方法を知り老後に備えよう

年金の繰下げ・繰上げ受給に注意する

在職老齢年金では、繰下げ受給や繰上げ受給を申し込む際にも注意が必要です。

年金を65歳で受け取らずに、もらう時期を遅らせることを繰下げ受給といいます。
年金の受け取り時期を遅らせることで、年金額が1ヶ月あたり0.7%ずつ増額される仕組みですが、在職老齢年金によって減額された老齢厚生年金は繰下げの対象となりません。繰下げ受給で増額の対象となるのは、支給停止部分を除いた実際に受け取っている年金額になります。

一方、年金を65歳よりも前に受け取ることを繰上げ受給といいます。
年金の受け取り時期を早めることで、年金額は1ヶ月あたり0.4%ずつ減額されます。この場合、本来の受け取り年金額が繰上げ受給で減額され、さらにその減額された年金額に対して在職による支給調整が行われます。

【あわせて読みたい】年金の繰り下げ・繰り上げ制度とは?受給時期で異なる年金額の計算方法

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まとめ

在職老齢年金制度は、60歳以上で会社員として厚生年金に加入しながら勤務している方が受け取る老齢厚生年金のことです。

60歳以上の老齢厚生年金受給者が会社員として働く場合、会社の給与(賞与を含む)と老齢厚生年金(基本月額)の合計額が48万円を超えると、在職老齢年金制度により、年金が減額または全額支給停止されます。
会社員として継続して働く場合は、給与と老齢厚生年金(基本月額)の合計額を48万円以内に抑えながら働くことも選択肢の1つになります。

在職老齢年金の制度を利用して継続して会社員として働くことで、厚生年金の加入期間が延長され、もらえる年金の額も増えます。これは、年金だけでは老後の生活が不安な方や、より豊かな生活を送りたい方にとって大きなメリットになります。在職老齢年金の仕組みを理解して、適切に年金が受給できるようにしておきましょう。

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辻田陽子

FPサテライト株式会社所属 ファイナンシャル・プランナー
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種、日商簿記2級
税理士事務所、金融機関での経験を経て、「好きなときに好きなことをする」ため房総半島へ移住。現在は地方で移住相談や空き家活用に取り組みながら、ファイナンシャルプランナーとして活動中。