賃貸契約における「重要事項説明」とは?

賃貸契約時には、重要事項説明書を確認するということを述べました。
重要事項説明は、賃貸借契約を結ぶ際に宅地建物取引士が契約者に対して行うことが義務付けられているものです。
主に、賃貸物件の契約内容や特約事項などを説明することになります。
ここでは、重要事項説明について詳しく解説していきます。

賃貸借契約書との違いは?

賃貸借契約書は、賃貸契約を交わすための書類です。
一方、重要事項説明書は契約する物件の詳細や契約における重要事項が記載された書類となります。
賃貸契約を結ぶにあたって、物件の重要事項の説明を受け、事前に理解しておくことは非常に大切です。
また、契約時に詳細の説明を受けておけば契約後のトラブルを避けると同時に、契約者を守ることにつながると考えられています。
重要事項説明は、宅地建物取引士が行うよう法律で義務付けられています。
入居後のトラブルを防ぐためにも、納得がいくまで説明してもらい、疑問や不安を解決しましょう。

重要事項証明書に記載されていること

重要事項説明書には、物件の費用や設備、特約事項など様々な内容が記載されています。

費用

まずは、家賃や敷金、礼金、管理費、保証料、駐車場代などの費用に関する内容です。
賃貸物件に入居すると、家賃以外にも様々な費用が必要になります。
特に初期費用は敷金・礼金なども含まれるため、高額になることが多いです。
鍵の交換費用やケーブルテレビに関する費用などについても記載されていますが、気になることはよく確認しておきましょう。

設備

エアコンや電気・ガス・水道など、賃貸物件に備わっている設備に関する内容です。
契約時点でどのような設備があるのか記載されており、故障した場合の修理に関する説明もあります。
賃貸物件において、備え付けの設備に関するトラブルは非常に多いです。
特に修理費は入居者が負担するべきなのか、管理会社が負担するべきなのか曖昧になってしまうことも多いでしょう。
面倒でも、設備一つひとつがどのような扱いになっているのか確認しておくことが大切です。

インフラ整備

電気・ガス・水道などのインフラ整備に関する内容です。
最近はガスがなく、オール電化としている物件も多くなってきていますが、ガスがある場合は都市ガスなのかプロパンなのかも細かく確認しておきましょう。
また、インターネット環境が整っている物件も多いです。

契約・解約事項

普通借家契約の場合は契約更新が2年に設定されていることが多いですが、更新時には更新料の支払いが求められる場合があります。
更新料は物件によって必要ない場合もありますが、金額等はこの段階で確認可能です。
また、契約途中で解約する場合、退去時期の申告をいつまでにするべきなのか、期日を守らなかった場合の家賃の支払いなどについても説明されます。
解約時には解約通知書の提出が必要です。

原状回復工事における特約

退去時には、居室を入居時と同じ状態に戻すための原状回復工事が行われます。
原状回復工事は費用負担をめぐってトラブルに発展しやすいです。
基本的に、経年劣化による原状回復は貸主負担となります。
国土交通省では原状回復工事におけるガイドラインを掲載しているので、事前に確認し、それに従っているかどうか確認してみてください。
また、原状回復工事には特約が設定されているケースもあります。
例えば、特約で敷金から原状回復工事費用を支払うことが記載されている場合は、それに従います。
不利な条件で契約しないよう、契約時には負担割合をしっかり確認しなければなりません。

禁止事項・特約事項

その他、物件の禁止事項や特約事項についても説明があります。
禁止事項で最も多いのは、楽器の使用やペットの飼育を不可とする内容です。
それ以外にも、居住する上でのマナーやベランダの使用方法など、様々な内容があります。
特約事項では、敷金の取り扱いや忌避事項の有無、近隣の暴力団事務所の有無などの説明があります。

物件の管理委託先

入居後は、大家さんではなく管理会社とやり取りをすることになります。
設備の故障や何らかのトラブルが発生した場合には、すぐに相談できるよう連絡先を控えておきましょう。

ハザードマップ

現在、重要事項説明において、国土交通省よりハザードマップの説明も義務化されています。
災害が発生した場合も避難先や津波被害の予想などを知っておくことで、いざという時に備えられます。
ハザードマップポータルサイトでも、ハザードマップを確認可能です。

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近年注目されている「IT重説」も知っておこう

近年は、重要事項説明においてIT重説を活用するケースも多くなってきました。
IT重説とは、パソコンやスマホなど、IT機器を使って賃貸契約時の重要事項説明を行うことです。
オンライン環境があればどこでもできるので、遠方への引越しの際に便利です。
賃貸契約においては2017年4月よりIT重説の運用が可能になっています。
ただ、すべての不動産事業者が導入しているわけではないため、IT重説を希望する場合は事前に確認しておきましょう。
IT重説では、基本的に対面で行う重要事項説明と同じような流れで物件の詳細や重要事項の説明を行います。
移動の必要がなく、録画・録音できるといったメリットがありますが、IT重説を受けるには接続テストや本人確認が必要です。
特に中小規模の不動産会社の場合は、ZoomをはじめとするWeb会議システムを活用してIT重説を行っているため、事前にインストールや登録を行わなければなりません。
通信料も発生するため、Wi-Fi環境がない場合には注意してください。
また、スマホを使ってIT重説を受ける場合は、画面が小さく図面が見にくくなってしまう可能性もあります。
そんな時には、事前に不動産会社にスマホでIT重説を受ける旨を伝えておき、図面や細かな箇所は事前に送付してもらいましょう。