賃貸借契約書でチェックすべきポイント

賃貸物件を借りる際は、賃貸借契約書を交わします。
賃貸借契約書に盛り込まれている内容の中でチェックすべきポイントがあります。
続いては、具体的にどのようなポイントをチェックすべきなのかみていきましょう。

契約期間と更新の定め

契約が普通借家契約と定期借家契約のどちらなのか、確認しておきましょう。
普通借家契約は、契約期間が1年以上の物件で期間の定めがありません。
大家さん側から契約の更新を拒絶したり、解約を求めたりすることは、正当な理由ができないという特徴もあります。
一方定期借家契約は、大家さんが契約期間を自由に定めることが出来、1年未満の契約も可能です。
期間が満了すれば契約が更新されないという点も、定期借家契約の特徴です。
更新料が発生する場合は、金額や支払い条件なども確認しておくことをおすすめします。

各種ルール

賃料や管理費(共益費)の金額、支払い、滞納した時などのルールも確認すべきポイントです。
金額はもちろんですが、支払い方法や支払期日なども把握しておかないトラブルに発展する可能性があります。
振込や自動引き落としを選択している大家さんが多く、翌月分を前月の末日までに支払うという方法が一般的です。
滞納してしまった時の延滞金が発生する場合は、延滞利率も確認しておきましょう。

敷金など

敷金などが必要となる場合は、金額や変換に関する手続きについても確認しておかなければいけません。
敷金と退去時の原状回復費用の清算に関わるトラブルは多く見られるため、取り決めを把握しておく必要があります。
地域によって取引慣習が異なる場合もあるので、それも踏まえた上であらかじめ確認しておくのがおすすめです。

反社会的勢力の排除

不動産取引では、反社会勢力の排除を目的としたモデル条項が導入されています。
契約書の中に盛り込まれているか確認してみましょう。
もしも大家さん側が反する行為を行った場合、契約の解除ができます。

修繕

賃貸物件の修繕に関する取り決めも要チェックです。
一般的には、物件を使用するための修繕は大家さんが行うことになっています。
しかし、入居者が故意的に壊して修繕をしなければいけなくなったり、過失があるとみなされたりすると、修繕費用を負担しなければいけません。
取り決めが不明確だとトラブルにつながる可能性が高いので、しっかり記載されている物件を選ぶようにしましょう。

禁止事項

禁止事項には、ペットの飼育や楽器の演奏、石油ストーブの使用などが挙げられます。
その他にも、無断で他人を同居させることや長期的に不在にすることを禁止している物件もあります。
物件によって禁止事項は異なりますが、違反すると退去を求められる可能性が高いです。
しっかりと禁止事項を確認し、問題を起こさないようにすることが重要です。

契約の解除

大家さんから契約解除を申し出るための要件も取り決められています。
賃料を滞納した場合、禁止事項に違反した場合などが挙げられます。
契約解除を言い渡されないようにするためにも、しっかりと賃貸借契約書に記載されたルールを確認しておきましょう。

借主からの解約

借主からの契約解除に関しては、解約通知の期日や具体的な手続きなどが書かれています。
不動産会社によりますが、解約通知書のひな型が契約書に添付されている場合もあります。
そのような時は、添付されているひな形を使うのが鉄則です。
それ以外のフォーマットだと受理してもらえない可能性も考えられます。

その他

前述した内容以外にも、原状回復の範囲や費用、特記事項などが賃貸物件の契約書には盛り込まれています。
原状回復の範囲や費用は、トラブルになるケースが多いので内容が明確になっているか確認しましょう。
気になる部分がある場合は、大家さんや不動産会社に聞いてみてください。
国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」では、別表で借主と貸主の修繕分担表などを公表しています。
それを参考にしつつ、入居予定の物件の契約書を確認するのがおすすめです。
特記事項には、入居者にとって不利な内容が記載されている場合もあります。
退去時に大きな負担を負わなければいけない可能性もあるので、細かい部分までしっかり確認してください。

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賃貸契約時に起こりやすいトラブル事例

賃貸契約時に起こりやすいトラブルはいくつかあります。
最後に、どのようなトラブルが起こりやすいのか、いくつか事例を挙げてご紹介します。

入居申し込みのキャンセルができない

入居申し込みのキャンセルは、基本的に賃貸借契約が成立する前であれば可能です。
つまり、契約書に署名や捺印をしていない状態なら、キャンセルができるのです。
入居申し込みをした後に事情が変わってしまい、キャンセルを申し出たのに認められなかったという事例は少なくありません。
トラブルを回避するには、申込をする前に万が一の時にキャンセルが出来るのか確認しておきましょう。
また、キャンセルの連絡はいつまでにすれば問題ないのか、誰に伝えればいいのか、といった点もあわせて確認しておくと安心です。

申込金の返還が行われない

申込金は、物件を借りたいという意思を示す時、一時的に不動産会社に預けるお金です。
賃貸借契約が成立しなかった場合は、申し込みした人に変換されるのが一般的です。
しかし、契約が成立しなかったにもかかわらず申込金が変換されないというトラブルも往々にしてあります。
宅地建物取引業法施行規則では、申込金の返還を拒否することが禁止されています。
そのため、拒否されたとしても返還請求を行うようにしましょう。
トラブルを防ぐには、預かり証を受け取ると良いでしょう。
預かり証に記載する項目は以下の通りです。

・入居申込者の名前
・預けた日付
・預けた金額
・返還の期日
・預かり金の目的
・賃貸契約の成立・不成立に関係なく、期日には必ず返還されること
・担当者の記名と押印

損害賠償保険への加入を強要された

損害賠償保険への加入を強要されたというトラブルも比較的多く見られます。
契約書に記載されていることがあるので、署名や押印する前に確認するようにしましょう。
損害賠償保険の加入義務は確かにありますが、どの保険に加入するかは入居者の自由となっています。
不動産会社や大家さんが指定してきたとしても、それに従う必要はありません。
ただし、保険によって内容が異なるので、大家さんや不動産会社が提示する条件を確認してから加入するようにしてください。

子どもが出す生活音を理由に更新を拒否された

子どもがいるとどうしても生活騒音が大きくなってしまいます。
床に物を落としたり、走り回ったりする音が階下の住民に不快感を与えてしまう場合もあるでしょう。
それを理由に更新を拒否されてしまうケースも少なからずあります。
子どもが原因で発生する音は、よほどのことがなければ更新拒否の理由にはなりません。
そのため、出ていく必要はないと考えられます。
しかし、マンションやアパートといった集合住宅で生活するのであれば、騒音を少しでも抑えるための対策は必要です。
それが集合住宅で生活する基本的なマナーです。

まとめ

賃貸契約を結ぶ際、普通借家契約と定期借家契約の違いや手続きの流れなど、基本的な部分を把握しておくとスムーズに進められます。
その他にも、重要事項説明書やIT重説に関しても理解を深めておく必要があります。
実際に契約を結ぶ際には様々な書類も必要になるので、抜かりなく準備しておくことも重要です。
最近は連帯保証人がいなくても契約できる物件が増えていますが、今でも連帯保証人が必要な場合もあります。
連帯保証人が用意しなければいけない書類もあるので、誰にお願いするのか早めに決め、必要な書類を準備してもらうことも忘れてはいけないポイントです。
スムーズに賃貸契約を結ぶためにも、今回紹介したポイントは念頭に置いておきましょう。