20代前半のころから介護施設で働いている私の友人は、35歳で責任者として働くことに。友人は、責任者としての慣れない業務に奮闘しながらも新入社員の指導もしなければならず、忙しい日々を送っていました。この話は、新入社員のやり方を尊重することで招いてしまった一件によって学びを得た友人のお話です。

職場に新しく入社してきたAさんに期待した結果





友人の働いている介護施設に入社した20代後半の新人Aさん。現場の責任者をしていた友人は、Aさんの指導にもあたっていました。20代前半のころから介護の仕事を経験してきたAさんは、ある程度の介護に関する知識や技術はあったため、少し説明しただけで仕事を進めてくれます。そんなAさんの姿に友人は、「これから戦力になってくれそうだな」と期待を抱いたそうです。

しかし、指導の際にそれぞれの利用者さんの注意事項や覚えなければならないことなどを伝えても、一切メモをとらないAさん。友人がそんなAさんを心配して「念のためメモを取ったほうがいいんじゃないかな?」と伝えても、「私、実践で覚えるタイプなので大丈夫です!」と聞く耳を持ちません。特に、利用者さんごとに異なる情報はなかなか覚えにくく、友人自身が若いころには必ずメモを取っていたので、「最近の若い子はメモを取るのではなく、きっと後でスマホやタブレット内にまとめているのだろう」と友人は思っていたそうです。

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AさんのミスやAさんへのクレームが目立つように

その数日後、Aさんはミスを犯してしまいます。甘いものを控えなければならない利用者さんに、甘いものを提供してしまったのです。もちろん、友人はAさんにその情報は引き継ぎしていました。たまたま通りかかった看護師が、利用者さんがAさんから提供された甘いものを食べようとする場面を発見したため事なきを得ましたが、その一件を聞いた上司からこっぴどく怒られたAさん。友人はその後、Aさんがうつむいたまま黙々と仕事をする姿を見て、さすがに反省しているだろうと思っていました。

ところが、それ以降何人もの利用者さんが友人のもとを訪ねてきてはAさんに対するクレームを伝えてくるようになったのです。友人の施設では、それぞれの利用者さんに対する支援方法が決まっており、利用者さんが戸惑わないようすべての職員がその方法で支援をおこなっていました。しかし、Aさんだけほかの職員とまったく違うことをするため耐えきれない、というクレームが多く寄せられたそうです。