食楽web

●都心からのアクセスに恵まれ、気軽に日帰りで行ける箱根は、国内外の観光客に大人気。箱根湯本から芦ノ湖まで、新旧の魅力あふれるグルメに出会う日帰りモデルコースをご紹介!

 うららかな陽射しと風が心地よいこの時期は、箱根が1年で最も過ごしやすい季節。エリアごとに異なる雰囲気や温泉はもちろん、箱根に来なければ出会えない味も盛りだくさん。

 今回は、創業から100年を数える老舗から、令和にオープンしたニューフェイスまで、箱根の絶景をぐるっと巡りながら見つけた編集部おすすめグルメをご紹介します。

旅の始まりはエリアの玄関口・箱根湯本から


赤い欄干が映える「あじさいばし」は箱根湯本の映えスポット。川辺に降りることもできます

 小田原を過ぎてしばらくすると箱根の玄関口、箱根湯本に到着。箱根の中でも宿や温泉施設、飲食店や土産物店などが特に充実し、通年多くの観光客でにぎわっています。

【箱根湯本】湯上がりのやわ肌を思わせる『ちもと』の「湯もち」


お店のロゴは地図で用いられる銀行マークがモチーフ

 駅前のメインストリートを塔之澤方面に数分歩くと見えてくる、白い洋館のような建物が箱根みやげとして人気の『ちもと 駅前通り店』です。


「湯もち」1個(バラ)290円

 国産もち米を使用した白玉粉を蒸して練り上げたやわらかいお餅の中に、早川の岩石になぞらえた自家製羊羹を切り入れ、柚子の香りでミカンの里を匂わせた箱根を代表する銘菓が「湯もち」です。

 真っ白ですべすべした手ざわりは、まるで湯上がりのやわ肌のよう。ふわっととろける食感は、白玉粉に寒天と卵白を泡立てたメレンゲを混ぜて練り上げているから。常に作りたてを提供するのも『ちもと』のこだわりです。


『お庭の茶店』の営業時間は10:00~16:00(雨天休業)

 店舗脇には和菓子とお茶を楽しめるカフェ『茶のちもと』を併設。さらに屋外には、木の温もりあふれる『お庭の茶店』も設けられ、子連れファミリーや愛犬連れでも気兼ねなくくつろぎながら「湯もち」やお茶を楽しめますよ。

●SHOP INFO

店名:ちもと

住:神奈川足柄下郡箱根町湯本690
TEL:0460-85-5632
営:9:00~17:00
休:元日、年5日程度
https://www.yumochi.com/

(広告の後にも続きます)

【宮ノ下】ティータイムに『カフェ・ド・モトナミ』の「宮ノ下小町」


独特な形や屋根のデザインもどことなく“富士屋風”。原型は、かつて小田原にあったバス待合所兼土産物店だそう

 箱根湯本から上ってやってきたのは、威風堂々とした「富士屋ホテル」で有名な宮ノ下。その向かいにある、大きな屋根と黄土色の外観が目を引く建物で営まれているのが『カフェ・ド・モトナミ』です。

 実はこの建物、「富士屋ホテル」が大正時代に開業した乗合バス、「富士屋自働車」の宮ノ下待合所として昭和初期まで使われていたもの。骨董店や薬局などを経てリノベーションし、2002年からカフェとして営業しています。


「宮ノ下小町」800円

 お店でコトコト煮込んだ小豆を使ったデザートが人気の和カフェで、コーヒーを組み合わせて楽しむのがモトナミ流。小豆は北海道産のとよみ大納言にビート(甜菜)糖を加えて煮ることで、口の中で甘みがすーっと抜けて後味がさっぱりしているのが特色です。

 季節を問わず人気ナンバーワンを誇るのが創作パフェ「宮ノ下小町」。フルーツとグラノーラ、小豆、ジェラートソフトに3色の白玉だんごが添えられていて、食感も楽しく食べ応えも十分。確かにコーヒーと一緒にいただくとおいしいですよ。


むき出しの梁やアンティークが独特の雰囲気を醸し出す2階席 [食楽web]

 階段を上がった2階は、待合所時代は「階上喫茶店」として使われていた空間。現在はハンモックや古いオルゴール、ご主人ゆかりのアーティストの作品などが飾られ、窓際の席からは「富士屋ホテル」を眺められます。

【宮ノ下】意外な組み合わせがクセになる『渡邊ベーカリー』の名物パン


欧風のしゃれた店構え、食パン型の手彫りの看板も愛らしい

 宮ノ下のメインストリート、セピア通りのゆるやかな坂道の途中にある『渡邊ベーカリー』は、明治24(1891)年創業の老舗パン屋さん。

 器に見立てたフランスパンの中にアツアツのビーフシチューを詰めた「温泉シチューパン」が有名ですが、意外な組み合わせがクセになる独創的なパンもそろっているのです。


「丸ごとみかん」350円(左)、「梅干あんぱん」350円

 それがこちら「丸ごとみかん」と「梅干あんぱん」。みかんも梅干も、お隣、小田原ならではの名産品ですね。


層になった生地でジューシーなみかんを包んだ「丸ごとみかん」、人気№2でお土産にも好評の「梅干あんぱん」

 切って断面を見てみると、ご覧の通りみかんと梅干しが丸ごとパンの中に入っています。期間限定の「丸ごとみかん」は、ラム酒漬けにした小ぶりなみかんにカスタードクリームとメイプルシロップという、意外な組み合わせですが、ちょっと大人な味わいで日本茶によく合います。

「梅干あんぱん」は自家製の梅干しをこしあんで包んであり、食べてみると甘いと酸っぱいが交互に訪れ、それぞれの味を引き立てるような不思議なハーモニーを感じます。ブラックコーヒーがよく合いますよ。

●SHOP INFO

店名:渡邊ベーカリー

住:神奈川足柄下郡箱根町宮ノ下343-3
TEL:0460-82-2127
営:9:30~17:00
休:水曜、第1・3・5火曜(臨時休業あり)
https://watanabebakery.jp/

【宮ノ下】番外編:レトロ感がたまらない『川辺光栄堂』の「鉱泉煎餅」


色褪せた看板など長い年月を感じさせる店構え

 編集部が訪れた日は残念ながら閉まっていましたが、営業していたらぜひ立ち寄ってほしいのが『川辺光栄堂』です。創業は明治12(1879)年、宮の下交差点の近くに佇む店舗はよくよく気を付けていないと通り過ぎてしまいそう。


昔から変わらないレトロな缶入りの「鉱泉煎餅」

 売られているのは、小麦粉、白玉粉、卵、砂糖などに地元の鉱泉(湧き水)を混ぜて練り上げ、薄く丸く焼き上げた「鉱泉煎餅」のみ。かつて横浜に居留していた外国人の箱根土産として人気を集めた歴史があり、飽きの来ない素朴な味わいがどこか懐かしさを感じさせてくれます。営業していたらラッキー、ぜひ立ち寄ってみて下さい。

●SHOP INFO

店名:川邊光栄堂

住:神奈川足柄下郡箱根町宮ノ下184
TEL:0460-82-2015