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●年間700杯以上を食べ歩く“ラーメン官僚”こと田中一明氏が、日本全国のローカル・ラーメンの最新事情&行く価値のある名店をご紹介します。

 大阪といえば、東京、神奈川に次ぐ約880万の人口を誇る、西日本ナンバーワンの大都市。当然ながらエリア外からの旅行者やビジネスマンも多い。しかしその割に、ラーメン情報が少ないイメージをお持ちの方も多いのでは?

 2024年4月現在における大阪のラーメン事情を概観すると、ざっと下の通りとなる。

1.ラーメンの平均レベルは、東京のそれと肩を並べるほど高い
2.東京と比べ、スープが濁った白湯系ラーメンを出す実力店が目立つ
3.東京の実力店にルーツを有する店も多い

 これら3点が、大阪ラーメンシーンの大きな特徴だ。

 今回は、筆者が訪れて感動した最旬の大阪の最旬ラーメン店を4軒、ご紹介したいと思う。ゴールデンウィーク中や休み明けに大阪に行く機会のある人は、ぜひ訪れてみてほしい。

神レベルの白湯系ラーメン|『ラーメン家あかぎ』


行列が絶えない『ラーメン家あかぎ』

 最近、訪問した大阪のラーメンの中で、特に印象に残った店舗のひとつが、『ラーメン家あかぎ』(オープンは2017年)。大阪市東淀川区・上新庄駅からほど近い場所に店を構えるこの店は、日本最高峰の白湯系ラーメンを繰り出す超実力店である。

 ここでは、「鶏白湯しょうゆ」と「鶏白湯しお」の2品が特にオススメ。共に、“旨い”という表現が陳腐に感じられるほどの“神”レベルの白湯ラーメンだ。

 鶏白湯ラーメンは、ともすれば、鶏の素材感を演出することのみに意が注がれがちだが、『あかぎ』のそれは、ダシのみならず、タレ等も含めたスープそのものの完成度が規格外だ。


鶏白湯しょうゆ

 泡とスープの味わいが分離せずシームレスである点も、特筆に値する。

 近年、関東圏等においても泡系ラーメンを出す店が増えつつあるが、『あかぎ』のような、鶏の素材感の表現法からタレの風味に至るまで、全てが完璧な出来映えの一杯に出逢える機会はそうはない。白湯系ラーメンの真髄に触れる名杯。大阪に出かける機会のあるラーメン好きの方は、万難を排してお召し上がり願いたい。

●DATA

店名:ラーメン家あかぎ

住:大阪府大阪市東淀川区瑞光2-2-21
アクセス:阪急京都線・上新庄駅南口より徒歩6分

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東京の名店をルーツに持つ実力店|『マツヨシ大飯店』


チャーシューの代わりに「豚バラ肉」が。そして「温泉玉子」がのっている

 大阪には、都内の名店・実力店にルーツを有する実力店も少なくない。『マツヨシ大飯店』は、東京の名店『宗家一条流がんこラーメン』で修業し、「なんばグランド花月」の正面で営業していた『がんこ十八代目』が移転し、屋号をリニューアルしたもの。

 ロケーションは、長堀橋にある雑居ビルの2階。マニア心をくすぐる隠れ家的な立地でありながら、営業時間中は行列が絶えないほどの人気ぶりを誇る。私がオーダーした「ねぎ塩」は、キレとコクを見事に兼ね備えたスープが、会心の出来映え。


雑居ビルの2Fで営業する『マツヨシ大飯店』

 定番のチャーシューの代わりに「豚バラ肉」と「温泉玉子」が搭載されるビジュアルは、同店ならでは。豚バラ肉から滲み出るジューシーな肉エキスと、スープとの相性は最高。中盤以降、温泉玉子の黄身を麺に絡め、ズズっと啜り上げれば、至福の境地が訪れる。

●DATA

店名:マツヨシ大飯店

住:大阪市中央区東心斎橋1-4−1オリエンタル東心斎橋ビル2F 206号
アクセス:大阪メトロ堺筋線/長堀鶴見緑地線・長堀橋駅7番出口より徒歩1分