夫が「年金受給前」の64歳で死亡。これまで払った年金保険料は「無駄」になる?

年金の支給開始は原則65歳からです。そのため、65歳にならないうちに死亡した場合、これまで支払った年金保険料が無駄になってしまうと思う人もいるかもしれません。
 
しかし、無駄にはなりません。というのも、遺族年金を始め、死亡一時金や寡婦年金が用意されているからです。本記事では、夫が「年金受給前」の64歳で死亡した場合を例にあげて、解説します。

遺族年金とは?

遺族年金とは、要件を満たす年金加入者が亡くなったとき、遺族が受け取ることができる年金のことです。遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、遺族基礎年金を受け取ることができる人は、死亡した年金加入者によって生計を立てていた「子どもがいる配偶者」または「子ども」です。

 

受け取ることができる年金額は「79万5000円+子の加算」になります(68歳以上の配偶者が受け取る場合は「79万2600円+子の加算」)。子の加算額は第1子および第2子は22万8700円、第3子以降は各7万6200円です。

 

ただし、子どもの年齢は「18歳の誕生日を迎える年の年度末を過ぎていないこと」または「20歳未満で1級・2級の障害のあること」が条件です。また、遺族厚生年金を受け取ることができるのは、死亡した年金加入者によって生計を立てていた「妻」「夫」「子ども」「父母」「孫」「祖父母」となります。

 

死亡一時金とは?

死亡した年金加入者が要件を満たしていれば、死亡一時金を受け取れる可能性があります。要件とは「死亡日の前日までに36ヶ月以上保険料を支払っており、老齢基礎年金・障害基礎年金を受け取らずに死亡していること」です。受け取ることができる人は、死亡した年金加入者と生計を同じくしていた遺族になります。

 

優先順位は「1・配偶者」「2・子」「3・父母」「4・孫」「5・祖父母」「6・兄弟姉妹」の順です。たとえば配偶者が受け取った場合、子どもは受け取ることはできません。死亡一時金の金額は「12万円から32万円まで」で保険料を支払った月数に応じて支給されます。さらに36ヶ月以上付加保険料を納めていれば、8500円が加算されます。

 

ただし、遺族基礎年金や後述の寡婦年金を受ける場合は支払われません。死亡一時金の権利の時効は、年金加入者の死亡した日の翌日から2年のため、注意しましょう。

 

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