共働きと専業主婦(夫)、離婚時の年金分割に違いはある?

合意分割による請求のポイントとは

離婚等してから2年以内の改定請求をするという点は、3号分割も合意分割も同様に期限があります。ただ、合意分割が困難になるという理由は、当事者が「合意」により年金の按分割合を定めなければならないという点です。

 

そもそも離婚に至るまでの夫婦がスムーズに話し合うのは難しいものです。そんなときには、裁判手続きを検討してみましょう。合意がまとまらない場合には、一方の求めで裁判所が按分割合を定めることができます。

 

ただ、裁判所にいきなり行くというのはハードルが高いかもしれません。そんな時には、まず「年金分割のための情報提供」を請求してみましょう。

 

合意分割が3号分割と異なるのは「按分割合」が2分の1と決まっていないので、その分割の対象と割合を決めるために、「年金分割のための情報提供請求書」に添付書類を添えて、お近くの年金事務所か街角の年金相談センターに請求します。この請求は、離婚の「前」でも「後」でも行うことができます。

 

この請求には、基礎年金番号またはマイナンバーを明らかにできる書類や、婚姻期間を明らかにできる書類が必要ですが、離婚前の請求なら、請求者のみに通知されます。

 

大変な時だからこそ覚えておきたい離婚の年金分割制度

家庭裁判所に按分割合を決めてもらう申し立てをするためには、前段でご紹介した「年金分割のための情報通知書」の添付が必要です。ただ、この通知書は、離婚後に交付されるものという条件があります。

 

離婚後の請求は、片方からの請求であっても両方に通知が交付されます。離婚の際には、養育費や親権、財産など、決めなくてはならないことが山積みです。離婚後、遠い将来の年金のことまで考えられないという切羽つまった理由の方もいるでしょう。

 

50歳未満の方の場合、年金の見込額は出ませんし、分割を受けても、その後国民年金保険料を支払うか、厚生年金に加入して受給資格を満たさないと、将来の年金には反映されません。ただ、間違いなく、手続き等に割かれた労力は将来の年金に加算され、その加算は死ぬまで続きます。ぜひ覚えておきましょう。

 

執筆者:當舎緑

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

 

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