消費税率の引き上げに伴い、国からの年金額や他の所得が基準額を下回る方を対象に年金生活者支援給付金が支給されています。
受け取っている年金の種類に応じて、3つの年金生活者支援給付金があります。
■老齢基礎年金を受け取っている方・・・老齢年金生活者支援給付金
■障害者基礎年金を受け取っている方・・・障害年金生活者支援給付金
■遺族基礎年金を受け取っている方・・・遺族生活者支援給付金
本稿では老齢年金生活者支援給付金について見ていきます。
老齢年金生活者支援給付金とは
老齢基礎年金を受け取っている方で、以下のすべてを満たしている方が、老齢年金生活者支援給付金の対象です。
(1)65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
(老齢基礎年金の繰上げ受給をしている65歳未満の方は対象外)
(2)同一世帯の全員が市町村民税非課税である
(3)前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が88万1200円以下である
(公的年金等の収入金額には障害年金や遺族年金等の非課税収入は含まれない)
なお(3)の合計額が78万1200円超88万1200円以下の方は、「補足的老齢年金生活者支援給付金」の対象となります。
■老齢年金生活者支援給付金の給付額
月額5140円(2023年度の額)を基準にして、以下の(1)と(2)の計算式を併せた金額になります。
(1)保険料納付済期間に基づく額(月額) =5140円×保険料納付済期間÷被保険者月数480月
(2)保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1041円(※)× 保険料免除期間÷被保険者月数480月
※生年月日や免除の割合に応じて5504円~1万1041円になります。
また、先述の「補足的老齢年金生活者支援給付金」の額は以下のとおりです。
給付基準額(月5140円) × (保険料納付済期間÷ 被保険者月数480月) × [調整支給率]
支給調整率の計算式は図表1のとおりです。
【図表1】
■支給が停まることも
先述のとおり、公的年金の受給額とその他の所得の額の合計額によって年金生活者支援給付金の対象になるか否かが決まります。その判断は市町村から提供を受ける所得情報等によりなされます。対象になった方は申請が必要ですが、2年目以後の手続きは不要です。
もし、対象外になった場合には「年金生活者支援給付金不該当通知書」が送られてきます。
年金生活者支援給付金と公的年金と同じ点、異なる点
年金生活者支援給付金は、国からの年金(公的年金)と同じタイミングで振り込まれます。例えば、8月15日に振り込まれる年金生活者支援給付金は6月分と7月分です。
また、年金生活者支援給付金をもらっている方が亡くなった場合には、公的年金と同じく未支給年金の対象になります。
公的年金のうち、老齢基礎年金や老齢厚生年金は雑所得で課税対象ですが、年金生活者支援給付金は非課税所得です。つまり、年金生活者支援給付金の受け取りにより、課税所得が増えたり、国民年金保険料や介護保険料、後期高齢者医療保険料が増額したりすることはありません。
以上のことに十分留意しましょう。
出典
日本年金機構 年金生活者支援給付金のみの源泉徴収票は送付されるのでしょうか。
日本年金機構 年金生活者支援給付金を受給している方が亡くなったとき
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役
配信: ファイナンシャルフィールド
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