令和6年度からさらなる支援! 高等教育費の負担軽減策を紹介

「異次元の少子化対策」実現のための「こども未来戦略方針」が、令和5年6月13日に閣議決定されました。
 
・若い世代の所得を増やす
・社会全体の構造・意識を変える
・全ての子ども・子育て世帯に切れ目なく支援する
 
を基本理念とするものです(引用元:内閣官房「こども未来戦略方針」)。
 
今後3年間に特に集中して取り組む「加速化プラン」に基づき、安心して子どもを産み育てられるため、奨学金制度について3点の改正が行われます。令和6年度から施行されます。

【学部生】高等教育の就学支援新制度、中間層も対象に

改正の1つめは、「高等教育の就学支援新制度(授業料減免+奨学金の給付)」の拡充です。

 

現在の制度では、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯が対象です。年収の目安としては、両親・高校生・中学生以下の子の家族4人世帯の場合(モデルケースとします)、約270万円未満(住民税非課税)は全額支援、約300万円未満は全額支援の3分の2の支援を、約380万円未満は全額支援の3分の1の支援を受けられます。

 

今回の改正により、多子世帯(扶養する子どもが3人以上)であるか、理工農系への進学であれば、年収約600万円(モデルケースの場合)までは支援を受けられるようになります(多子世帯支援・理工農系支援)。

 

多子世帯支援は、全額支援の4分の1の支援を受けられます。申し込み時点で3人以上の子どもを扶養している場合であり、たとえ子どもが3人以上いても、社会人となって扶養から外れた子は数に入れません。

 

また、理工農系支援は文系との授業料の差額が支援されます。私立の文系と理系で学費の差があることに着目したもので、私立の学生が対象です。対象となる学部・学科については、名称ではなく、学位の分野に理工農が含まれていれば対象です。詳しくは、文部科学省ホームページの「私立学校の理工農系学部・学科のリスト(予定)」でご確認ください。

 

両方の要件を満たす場合は、多子世帯支援が優先されます。また、令和6年度から新制度の対象になる場合は、令和6年4月以降、在籍する大学等を通じて申し込みの予定です。

 

【大学院生】修士段階の授業料を出世払いに

高等教育の修学支援新制度は学部生が対象であり、博士課程の学生には、研究に専念できるよう支援策が多くあります。しかし、修士課程には支援がほとんどありません。

 

今回の改正では、授業料を卒業後に所得に応じた金額を「後払い」(所得に応じた出世払い)で納付できる支援を、まず、修士課程に導入します。授業料相当額を、国が日本学生支援機構に支払い、日本学生支援機構が大学に支払う仕組みです。

 

卒業後、立て替えてもらった分を、日本学生支援機構に納付します。この制度の利用ができるのは、親からの仕送りを含めた学生本人の年収が約300万円以下の場合です。

 

ただし、後払いにできる授業料には上限があります。国公立は国立授業料の標準額(約54万円)ですが、私立の場合は授業料の平均的な水準額(約78万円)が上限です。私立は学校や学部・学科により授業料が異なるためですが、不足する分は、利用者が学校に直接納付します。

 

卒業後に所得に応じた納付が始まるのは、本人の年収が300万円程度からです。子育ての世代に負担がないよう、例えば子どもが2人いれば、本人収入400万円程度までは始まりません。規定の年収を上回ったら、課税対象所得の9%を納付します(※令和6年度は、秋入学と、就学支援新制度の対象であり修士課程に進学する者を対象とする予定とのこと)。

 

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