退職金「2000万円」、同じ金額でも勤続「20年以下」と「20年超」で手取り額はどれだけ違う? 退職金の手取り額を試算

退職金は、社員が退職した後の老後の所得保障として支給されているのが一般的です。退職金制度は終身雇用制度の骨格として多くの企業などで採用されており、勤続年数が長いほど支給額が割り増しされていくのが通常で、税制面でも後押しされてきました。
 
本記事では、退職金の退職所得控除額および所得税課税対象額について、解説したいと思います。

退職所得控除額と所得税課税対象額

例えばAさんとBさん2人の会社員がいるとしましょう。Aさんは勤続20年で退職することにしました。一方、Bさんは勤続21年で退職することに。比較のため、AさんとBさんの退職金は同じ2000万円とし、一時金として受給すると仮定します。

 

このとき、AさんとBさんの退職金の退職所得控除額や所得税課税対象額はどのくらい差が出るのでしょうか? 当然、退職所得控除額が多いほど所得税課税対象額が少なくなり退職金の手取り額は多くなります。

 

退職所得控除額の計算方法

退職所得控除額は、所得税法第30条第3項および同条第6項第2号により、次のように計算されます。

 

・勤続20年以下の場合 40万円×勤続年数(ただし、80万円に満たない場合には、80万円)

・勤続20年超の場合 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

 

所得税課税対象額の計算方法

所得税課税対象額は、所得税法第30条第2項により、次のように計算されます。

 

・所得税課税対象額=(退職金の額-退職所得控除額)×1/2

 

Aさん(勤続20年以下)の退職所得控除額と所得税課税対象額

上記の計算式をAさんに当てはめた場合、次のようになります。

 

・退職所得控除額=40万円×20年

         =800万円

・所得税課税対象額=(2000万円-800万円)×1/2

          =600万円

 

したがって、Aさんの退職金に対しては、600万円に所得税および復興特別所得税と住民税がかかることになります。

 

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