貧困の世界基準とは
前項までは貯蓄額と生活意識の話題ですが、「貯蓄が少ない」=貧困、というわけではありません。貧困とはどんな条件で定義づけられるものなのかを見てみましょう。国際機関である経済協力開発機構(OECD)では相対的貧困率(単に貧困率ともいう)を以下のように定めています。
【相対的貧困率(OECD基準)】
所得が貧困線を下回っている人の割合のこと。貧困線は、全人口の家計所得中央値の半分。
【貧困線】
等価可処分所得の中央値の半分の額。等価可処分所得とは、世帯の可処分所得(収入から税金・社会保険料等を除いた、いわゆる手取り収入)を世帯人員の平方根で割って調整した所得のこと。
つまり貧困とは所得によって決まるもので、貯蓄は関係ないのです。貧困率・貧困線は都度変わり、2021年時点では貧困率15.4%、貧困線127万円となっています。貯蓄が100万円未満であっても、年収が127万円を下回らなければ貧困とはいいません。
相対的貧困に対して絶対的貧困は、最低限の衣食住が所得で賄えない状態のことをいいます。主に開発途上国に対して使われる用語で、世界銀行の定めによると「1日に2.15ドル未満の生活」を送る人です。これを日本円に換算してみます。
【絶対的貧困】
1ドル150円(2023年11月執筆時点)
2.15ドル×150円×30日=月9675円
月9675円未満で生活を送っている人が「絶対的貧困」にあたります。
まとめ
本記事の内容を簡潔にまとめます。
●貯蓄100万円未満の世帯は18.7%
●貯蓄100万円未満でも年収127万円以上なら貧乏ではない
●生活が苦しいと感じている人は51.3%
●貧困の定義には世界基準があり、貧困率・貧困線で定める
●貧困には相対的貧困と絶対的貧困がある
「貧困」は主観的にも使用される言葉ですが、自分自身にとっての「貧困」が、貯金いくら未満なのか、相対的貧困・絶対的貧困どちらなのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。
出典
厚生労働省 国民生活基礎調査 2022年 各種世帯の所得等の状況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
配信: ファイナンシャルフィールド
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