転職の求人でよく見る「固定残業代」。なぜ企業は固定残業制を導入するの?

働き方に関する問題としてたびたび話題となる固定残業制は、その是非についてさまざまな意見が飛び交うことがあります。また、求人票などでの固定残業代を含めた賃金の表示をめぐってトラブルになるケースもあり、厚生労働省や都道府県労働局は企業に対して注意喚起を行っています。
 
なぜ企業は固定残業制を導入するのか、その理由について考えていきます。

固定残業代は給与計算が簡潔になる

固定残業制を導入する企業側のメリットとしては、給与の計算が簡潔になるという点が挙げられます。

 

一般的な給与形態では、従業員に対して個別に残業代を計算し、毎月の給与を支給する必要があります。また、人件費も毎月変動することで予算が立てづらいという面もあるでしょう。

 

一方、あらかじめ一定時間分の固定残業代を給与に含めて支給する固定残業制を導入すれば、その時間の範囲に残業が収まっていれば残業代の計算は不要になり、人件費の予算も立てやすくなります。

 

例えば、残業1時間当たりの賃金が1300円のAさんと1500円のBさん、3000円のCさんがいるとします。

 

1ヶ月の残業代について、Aさんは今月15時間の残業をしたので1万9500円、Bさんは1時間の残業なので1500円、Cさんは20時間で6万円と計算しなければなりません。その手間は従業員の数が多くなるほど増えます。

 

しかし、仮に一律で20時間分の固定残業代を給与に含めている場合、全員の残業時間が20時間以内なら支払う給与はそれぞれ前月と同じ金額となるため、給与計算にかかる手間を減らせます。

 

従業員の業務効率化につながる

固定残業制を導入している場合、前述のとおり、一定時間分の残業代が給与に含めて定額で支給されます。例えば、20時間分で3万円の固定残業代という給与形態であれば、残業が0時間でも20時間でも変わらず3万円が支払われます。

 

従業員の側からすれば残業を行わずに早く退社した方が得になるので、効率よく仕事をこなし、できるだけ残業を減らそうとするでしょう。

 

企業側にしても従業員の意識改革や業務効率の向上、経費の削減につなげられるというメリットがあります。

 

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