「採用活動のため、SNSにダンス動画を投稿しよう」と言われましたが、正直かなり嫌です…。断ったら減給になるでしょうか?

昨今では、SNSの利用が仕事の一環として求められる場面も増えており、特に採用活動では、企業の魅力をアピールする手段として活用されることがあります。しかし、個々の従業員にとっては抵抗を感じる命令でもあるでしょう。
 
この記事では、業務命令が有効な場合、また無効な場合について解説し、さらに業務命令を拒否したときの減給について考察します。

業務命令の有効性

業務遂行に必須な指令として、使用者から労働者へ伝えられるものが業務命令です。これは労働契約にのっとり、会社が持つ労務指揮の権限によって定められます。業務に直接関連し、合理的な範囲で出される指示には従う義務が労働者にあるのです。

 

例えば、新しいプロジェクトへの参加や、緊急時の対応などが挙げられます。労働契約や就業規則に明記された範囲内で、業務遂行に必要な命令は有効とされ、従業員はこれに従わなければ、契約上の違反や業務の怠慢と見なされる場合があります。

 

例えば、新型コロナウイルス流行に際し、多くの企業がテレワークへの切り替えによる業務継続を選択しました。あるIT企業でも、従業員に対し家庭からのリモートワークが指示されました。

 

この命令は、業務の継続性を確保し、従業員の安全を守るためのもので、就業規則に基づく正当な業務命令とみなせます。したがって、従業員がこの命令に従わなかった場合、業務上の義務違反となり、懲戒の対象となるでしょう。

 

このように、業務命令が適法かつ合理的な範囲内であれば、従業員はこれに従わなければなりません。ただし、業務命令の有効性は、その命令が業務遂行に直接関連しているか、そして従業員との契約や就業規則に基づいているかによって決まります。

 

業務命令が無効になる場合

業務命令が従業員に対し不適切な負担をかけるか、または法的・倫理的規範に反する場合、その命令は効力を失うことがあります。これには、従業員の尊厳を傷つける内容や、無理な精神的・肉体的負荷を課すものが含まれます。また、業務に必要不可欠ではない、もしくは合理的でない指示も、無効とみなされる可能性が大きいです。

 

業務命令が従業員に不当な負荷を課すか、法的・倫理的基準に違反する場合、従業員はその命令を拒否する権利を持っています。命令の有効性を判断する際には、その内容が業務上の必要性や合理性を満たしているか、そして従業員の権利や健康に対する影響を考慮する必要があります。

 

採用活動のためのダンス動画を業務命令として従業員に課すことは、従業員が減給処分を心配する以前に、使用者がこのような要件に逸脱していないかどうか検討の余地があるでしょう。

 

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